本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ワークデイ 日本法人社長の正井拓己氏と、McAfee Enterprise 執行役セールスエンジニアリング本部 本部長の櫻井秀光氏の発言を紹介する。
「企業にとって現状維持はもはや安全な選択肢ではない」
(ワークデイ 日本法人社長の正井拓己氏)
ワークデイ 日本法人社長の正井拓己氏
ワークデイは先頃、年次イベント「Workday Elevate Digital Experience 2021」をオンラインで開催した。同社社長で米Workdayのエグゼクティブプレジデント 兼 日本担当ゼネラルマネージャーも務める正井氏の冒頭の発言は、そのオープニングスピーチで、企業に今、求められる経営姿勢として述べたものである。
正井氏はスピーチで、「不確実な経営環境の中で企業が成功を収めるためには、これまで以上にスピーディーな意思決定とアジリティーの高いビジネスオペレーションを確立し、新陳代謝の活発な経営を行う必要がある」とした上で、次のように述べた。
「企業にとって現状維持はもはや安全な選択肢ではなく、攻めの姿勢で新しい価値を創造することが、この変化の激しい時代を生き抜くために求められている」
冒頭の発言はこのコメントから抜粋したものである。そして同氏は、「私どもワークデイは、そんな日本企業の変革を支援していきたい」と力を込め、ワークデイについて次のように説明した。
「お客さまの変革を支援するために、当社が提唱しているのが『エンタープライズマネジメントクラウド』という考え方だ。統合化されたプラットフォームの上でリアルタイムに計画、実行、分析のサイクルを回すことで、持続的な戦略の立案や実行が可能となる。これこそが、不確実な経営環境の中で迅速な意思決定や事業、組織の柔軟な再編を可能にするプラットフォームの要件であり、人材、財務、計画の3つの戦略領域を1つのプラットフォームで提供できることが、当社の強みである」
「エンタープライズマネジメントクラウド」については、同社が7月に財務管理のクラウドサービス「Workdayファイナンシャルマネジメント」の国内提供を開始すると発表した会見で、同氏が「Workdayプラットフォーム」を展開する新たなコンセプトとして明らかにした。その会見では、エンタープライズマネジメントクラウドとして提供するWorkdayのサービスの差別化ポイントについて、図1に示した点を強調した。7月の会見の内容については、関連記事を参照していただきたい。
図1:Workdayのサービスの差別化ポイント(出典:ワークデイ)
この7月の動きを踏まえ、同氏は今回のスピーチで、「これで当社の全てのサービスを日本のお客さまにも利用していただけるようになった。エンタープライズマネジメントクラウドをぜひ日本でも大きく広げていきたい」と意気込みを語った。
WorkdayはERP(統合基幹業務システム)領域のクラウドアプリケーションとして、SAPやOracleなどと今後、激しい顧客争奪戦を繰り広げることになるだろうが、有力な協業パートナーも多く、おもしろい存在になりそうだ。大いに注目していきたい。