岐阜県恵那市は、Zendeskを活用して、市民から寄せられる意見や要望、提案への対応をデジタルで一元管理する仕組みを構築した。これにより効率的なタスク管理・進行管理、庁内でのスムーズな情報共有が可能となった。
Zendeskについて同市は、タスク管理や進行管理、関係者による迅速な情報共有が可能な環境を整えられることを評価した。導入後は、広報広聴係に寄せられる市民の声を全てZendeskに集約し、内容に応じて担当課に振り分け、最終的に広報広聴係が市民に回答するまでのプロセスをZendesk上で一元管理できるようにした。
市民の声は電話やメール、市のウェブサイト、広報直通便はがき、恵那市公式アプリなど複数のチャネル経由で年間約300件に上る。
従来は総務課広報広聴係がいったんExcelにまとめて担当課にメールで問い合わせ、担当課がExcelに回答を記入して返し、広報広聴係が市民に回答する流れで個別対応していた。
Zendesk導入後の具体的な効果は、リアルタイムに関係者と情報共有できるようになり、回答までの時間を短縮でき、回答の精度が向上した点になる。また、進捗状況から時間を要すると判断した場合は、回答が遅れる理由を市民へ伝えておくなど、先回りした対応を行い、改善につなげている。
情報共有の面では、今、どこの誰からどんな意見や要望が届いていて、どの課の誰が対応中なのか、市民への回答は済んだのかをリアルタイムに把握できるため、無駄な確認作業を削減でき対応の抜け漏れも無くなっているという。
既に庁内コミュニケーションツールとして導入していたSlackと連携し、チケット化された市民の声をSlack上でいち早く確認できる仕組みも実現している。
Zendeskでは、問い合わせを「チケット」として、一元管理できる。サポート記録はチケット番号で管理されるため、問い合わせチャネルが異なっても一貫したサポートを行えるほか、サポートの経過を残したり、追跡システムとして利用できる、といったメリットがある。
また検索機能により、Zendesk上に蓄積された過去の対応履歴の中から必要な情報を簡単に確認できるので、苦情を繰り返す市民への対応履歴を確認し、初めて対応する担当者でも前もって準備し、より慎重に対応することができるようになった。
Zendesk導入から1年が経過しており、今後は災害時のヘルプデスクとしての役割にも活用する計画だ。また、個別に処理され、共有されていなかったような何気ない市民の声や今後の市政運営において改善のヒントとなる内容も全て、市政に関わる全員が把握できるようになったことから、そうした貴重な情報を、市政運営の改善のため最大限に活用していく予定だという。