日本マイクロソフトは、Microsoft Azureに関する勉強会を定期的に開催している。9月3日の会合では、データプラットフォームに焦点を当て、RDBMSの「Azure SQL Database」や分析サービスの「Azure Synapse Analytics」などを取り上げた。
Microsoft Azureでは複数のデータベース(DB)サービスが提供されているが、「ビジネス用途ならAzure SQL Database、開発者の使い勝手を踏まえるならPostgreSQLなど、利用シーンに応じて選択してほしい」(Azure ビジネス本部 マーケットデベロップメント部 シニアプロダクトマネージャー Azure SMEの廣瀬一海氏)という。
日本マイクロソフト Azure ビジネス本部 マーケットデベロップメント部 シニアプロダクトマネージャー Azure SME(領域専門家)の廣瀬一海氏
Azure SQL Databaseの他には、「SQL Database」「Database for MySQL」「Database for PostgreSQL」、そしてMySQLのフォークとなる「Database for MariaDB」が提供されている。共通しているのは、クラウドの有用性を生かすための機能拡張だ。特にデータの蓄積が性能低下の原因になりやすいが、「インデックスの性能劣化を検知して助言する。例えば、アプリケーションの更新でCPUの負荷が発生した場合、(性能監視データを踏まえた)機械学習などを用いて監視や助言を行う」(廣瀬氏)という。
また、高可用性や耐障害性を担保するためのバックアップデータも重要になる。廣瀬氏は、同社の経験として「不用意なクエリーのミスでデータを破損したが、前日の状況に戻すことができた。期間は30日だが、より長い期間も設定できる」と紹介した。
Azure Active Directory(Azure AD)との連携によるセキュリティ監査や、エクスポート時におけるDBのデータ暗号化、SQLインジェクション攻撃に対するファイアウォールの強化などにより、クラウドでのRDBMS運用性能を強化している。
なお、Azure SQL Databaseでは通常の「Single」、マルチテナントの「Elastic Pool」、SQL Serverとの互換性を高めた「Managed Instance」の複数の運用形式を用意しているが、「サーバーレスを選択すれば、スモールなDB環境を安価に構築できる」(廣瀬氏)とする。
Azure SQL Databaseの利用形態
SQLやPython、.NET、Scala、Rなど複数の言語でデータ分析を行えるAzure Synapse Analyticsでは、Apache Sparkを使ったインメモリー分析も可能という。データ取得方法も各種パイプラインを用意する。現在はプレビューだが、統合データガバナンス機能を主体とする「Azure Purview」についても、「各所に保存したデータ管理が可能。AWS(Amazon Web Services)のS3にも対応している」と廣瀬氏。対応するデータ形式も多岐にわたり、Apache ParqueやApache Avroなどもサポートする。実装するデータラベリング機能の対象先として、SharePointやOneDrive for Businessを指定することで、組織外に情報が流出するとリスクに通じるキーワードを事前に検知できるという。
Azure Synapse Synapseの機能群
また、Kubernetesサービスの管理を簡素化する「Azure Arc」は、Azure Kubernetes Service(AKS)をはじめ、Amazon Elastic Kubernetes Service(AKS)やGoogle Kubernetes Engine(GKS)、VMware Tanzu、Red Hat Open Shiftで稼働するコンテナー、物理/仮想マシンまでも管理するが、廣瀬氏によれば、各種のKubernetes環境をAzure Data Studio経由でアクセスできる点がメリットだとする。
バックグラウンドやエンドユーザーへ提供するサービスをKubernetesで実行している場合、各コンテナーの動作状況やシステム負荷を監視し、適切な運用を実現したいと考える担当者は少なくないだろう。「(他のクラウドベンダーと同様に)各サービスに対して最適化を施している」と廣瀬氏はサービスの優位性を強調した。
Azure Arcが対応する範囲