「CentOS」を後援しているRed Hatが「『Red Hat Enterprise Linux』(RHEL)のリビルド版であるCentOS Linuxから」、実質的にベータ版RHELのローリングリリースとしてのLinuxディストリビューションである「『CentOS Stream』に重心を移していく」と発表した際、多くのCentOSユーザーは抗議の声を上げた。また「CentOS 8」ユーザーは、2029年まで続くと約束されていたサポートが2021年末で打ち切られると知った際に憤慨した。そして、CloudLinuxがCentOS 8ユーザーの救援に向けて動いた。
CloudLinuxは、CentOS 8に対するアップデート/サポートサービスを2025年12月31日まで提供すると発表した。これはCentOS 8にとって救いの手となる。
これによりCentOS 8システムを稼働させている組織は、より長い時間をかけ、自らのニーズに合ったLinuxディストリビューションを見つけ出せるようになる。もしもCloudLinuxが動いていなければ、こうした組織はシステム移行に関して早急な判断を迫られていたはずだ。
CloudLinuxはもちろん、CentOS 8ユーザーが「CloudLinux OS」に移行してくれることを望んでいる。これは、CentOSやRHELをベースにカスタマイズした法人向けOSであり、マルチテナント型のウェブ/サーバーホスティング企業向けの軽量かつ高パフォーマンスなサーバーを念頭に置いて設計されている。なお、CloudLinuxはCloudLinux OS以外にも、「CentOS 8.4」をフォークした「AlmaLinux」という選択肢を用意している。
しかし、CloudLinuxは多くのCentOS 8ユーザーから、次に採用するOSをRHELにするか、それともCloudLinux OSか、またはAlmaLinuxや「Rocky Linux」といったCentOS 8.xのフォークか、さらには「Ubuntu」といったLinuxファミリー全体のブランチの中から採用するのかを検討するための時間を持てるよう、CentOS 8をサポートしてほしいという声が上がってきたと筆者に語った。このため、CloudLinuxはCentOS 8のサポートが途切れないようにする道を選んだのだという。
CloudLinuxの「TuxCare Extended Lifecycle Support Service」は、24時間365日のサポートと、オリジナルベンダーがもはやサポートしていない、つまりサポート期間が終了したLinuxのシステムコンポーネントに対するアップデートが含まれている。今回のサポート対象の追加により、同サービスは「Ubuntu 16.04」や「CentOS 6」「Oracle 6」といった、サポートの終了したLinuxディストリビューションに加えてCentOS 8をカバーするようになる。
同サービスは既に、Linuxディストリビューションに対するセキュリティパッチやパッケージアップデートの開発やテスト、配備で長期にわたる実績を有している。共通脆弱性評価システム(CVSS)での評価が7.5以上になったセキュリティホールは、平均2日でパッチが提供されている。これは、オリジナルのベンダーが提供までに要している期間よりも短い。また、CloudLinuxは既に10万台を超えるCentOSサーバーをサポートしている。
同社はまだ価格を発表していないものの、サポート終了が迫っているCentOS 8のサポートについても喜んで相談に乗るとしている。なお、価格は良心的なものになりそうだ。CentOS 6のTuxCareサポートは、1インスタンスあたり月額4.25ドル(約470円)からとなっている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。