アビームコンサルティング、SAPジャパン、SHIFT、MAIAは9月7日、さまざまな事情で就労に課題を抱えている全国の女性を「SAP人材」として育成/就労支援する事業を開始すると発表した。同プログラムは、地元の自治体や企業と連携しながら全国展開を予定しており、沖縄県から実施する。初年度は、1000人の育成を目指している。
厚生労働省の発表によると、新型コロナウイルス感染症の流行や2020年4月の緊急事態宣言下の社会経済活動の停滞に伴い、休業者数は約420万人に上り、就業者数も減少の傾向にある。特に、非正規雇用労働者の数は大幅に減少しており、その傾向は女性に顕著だという。要因の一つとして、女性の非正規雇用労働者が中心となって運営している宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業などが感染拡大の影響を大きく受けていることが挙げられる。
今回のプログラムでは、こうした状況の女性を人材確保が急務のSAP人材として育成することで、スキルアップと新たな就労機会を提供する。SAP人材とは、SAP製品の導入プロジェクトに携わるITエンジニアやコンサルタントなどを指す。これにより、一人でも多くの女性と企業をつないで雇用の機会を生み出し、不足するSAP人材を確保するとともに、女性の雇用問題の改善に貢献する。
沖縄県では、観光をはじめとする第3次産業の割合が高いことなどから、リモートワークや時短勤務などの柔軟な働き方が可能な職種が少ない傾向にある。同プログラムを実施することで、地方創生のための人材育成支援や雇用創出のほか、多様な働き方を選択できる社会の実現に寄与するという。
同プログラムでは、SAP人材の育成から働く場の創出、人材のマネジメントまで一貫して行う。SAP人材の育成では、ソフトウェアの品質保証やテストを行うSHIFTの教育機関「ヒンシツ大学」がカリキュラムを提供する。同機関は、ソフトウェアテストのスキルやマネジメントスキルを持つ人材育成支援を実施している。このカリキュラムのもと、女性のデジタル人材を育成してきたMAIAが、ウェブサービスのテストを行う「SAPテスター」を育成する。
働く場の創出では、アビームコンサルティングがERP(統合基幹業務システム)「SAP S/4HANA」の導入案件を中心に就労機会を提供する。MAIAが育成したSAP人材の就労制約を加味し、数人のチームで業務を分担する「ワークシェアリング方式」で配属する。実際のプロジェクトでは、SHIFTが保有するソフトウェアの品質保持技術のもと、品質/納品管理を実施する。
人材のマネジメントでは、MAIAが受講者へのキャリアコンサルティング、コミュニティー形成、配属の管理を担当。一般就労の一段階手前である「中間就労」として案件に関わってもらい、ライフスタイルに合った働き方を提案する。
SAPジャパンはテクノロジーや知見を活用し、教育から働く場の創出まで全体の支援を実施する。アビームコンサルティングは、数十年にわたるSAPとのパートナーシップとテクノロジーへの先進的な取り組みのもと、企業の変革を支援している。同社は、SAPを活用したビジネス支援の実績や知見を生かし、より多くの就労機会を提供するという。