IBMが「Power10」プロセッサーを披露した約1年後の米国時間9月8日、同社はこのプロセッサーを搭載した初のサーバー製品「IBM Power E1080」を発表した。
提供:IBM
IBMによると、7ナノメートルプロセスを用いたサムスン製プロセッサーのおかげでE1080は先行製品である「IBM Power System E980」に比べると、コアあたりの性能が30%向上し、ソケットおよびシステムレベルの総キャパシティーが50%増加するという。その結果、同一のワークロードで比較した場合、電力消費が33%削減されるという。また、E1080は専用ハードウェアの採用により、E980に比べると、人工知能(AI)推論が5倍高速化し、AES暗号に関するワークロードの実行が2.5倍高速化するという。
IBM POWER Systemsの最高技術責任者(CTO)であるSatya Sharma氏は、「業務アプリケーションでAIを実装する際に、別途GPUアクセラレーション機能を搭載したシステムを用意する必要がなくなる」と述べた。
また同社によると、このサーバーは「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)と「Red Hat OpenShift」での分単位の課金もサポートする計画であり、コアあたりのコンテナー化されたワークロードでのスループットはx86システムの4倍になるという。さらにハイブリッドモードでの「IBM Power Systems Virtual Server」と併用する場合、ワークロードはリファクタリングする必要なしにクラウドへと移行できるという。
Sharma氏は「サーバーのストレージ入出力という観点に立ってわれわれがPower Systems Virtual Serverで選択したアーキテクチャーは、オンプレミス側とPower Systems Virtual Serverの能力の間で完全な整合性を有している」と述べた。
IBMは、ある顧客の試算を引き合いに出し、126台のx86ベースのサーバーで稼働しているデータベースは、2台のE1080で置き換えられ、電力消費を80%削減するとともに、コアあたりのソフトウェアライセンスを70%削減することが可能だと主張している。
Power10を搭載したシステムは、「IBM POWER9」互換モードや「IBM POWER8」互換モードでの実行が可能であり、実行中のワークロードをある物理マシンから別の物理マシンへと、シャットダウンせずに移行させる「Live Partition Mobility」(LPM)機能もサポートしている。
IBMによると、E1080はSAPアプリケーションを8ソケットシステムで稼働させた際のベンチマークテストで、「HPE Superdome Flex」を40%上回る性能を記録したという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。