「コアDX事業」で2025年度に売上高5700億円を目指す--NECがDX戦略を明らかに

藤本和彦 (編集部)

2021-09-10 07:00

 NECは9月9日、DX(デジタル変革)事業の戦略説明会をオンラインで開催した。成長事業である「コアDX事業」をビジネスプロセス、テクノロジー、組織・人材の観点で強化していき、同事業で2025年度に売上高5700億円を目指す。

NEC 代表取締役執行役員社長兼CEO(最高経営責任者)の森田隆之氏(右)とNEC 執行役員常務 デジタルビジネスプラットフォームユニット長の吉崎敏文氏
NEC 代表取締役執行役員社長兼CEO(最高経営責任者)の森田隆之氏(右)とNEC 執行役員常務 デジタルビジネスプラットフォームユニット長の吉崎敏文氏

 同社では、顧客向けのDXを「コアDX」、NEC内部向けのDXを「コーポレートトランスフォーメーション」、社会のDXを「フラグシッププロジェクト」と位置付けている。社内DXについては、6月に詳細が明らかにされている

 5月12日に発表した2025年度を目標とする中期経営計画の中でコアDX事業を成長事業に位置付け、社内DXの知見や業種のノウハウ、研究所のコア技術などを集約し、顧客や社会のDXを支援していく。NEC 代表取締役執行役員社長兼CEO(最高経営責任者)の森田隆之氏は記者会見で、「ビジネスプロセス、テクノロジー、組織・人材の強化を図り、2025年度にコアDX事業で売上高5700億円、営業利益率13%を目指す」と強調した。

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 具体策としては、まずビジネスプロセスに沿ったアプローチの推進とDXオファリングメニューの拡充を図る。NEC 執行役員常務 デジタルビジネスプラットフォームユニット長の吉崎敏文氏によると、同社はこの1年間でDXのリファレンスにつながる7業種・50社の顧客を獲得しており、それらのプロジェクトをもとにビジネス上流の構想策定から実装・実践、運用・アップデートまでDXにおける戦略コンサルティング構想を策定。NECのDX戦略コンサルタント(200人)がNECグループのアビームコンサルティングと連携し、顧客のDXをサポートする体制を整えた。

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 また、DXオファリングメニューについても、NEC自身のDX経験を踏まえた働き方改革・モダナイゼーションや、スーパーシティーなど「NEC Safer Cities」領域を拡充した。NEC Safer Citiesとは、生体認証や映像解析を含むAI(人工知能)、IoT関連の先端技術を活用して、安全、安心、効率、公平な都市の実現を支えるNECの事業領域になる。

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 記者会見では、DXオファリングの最新事例として、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に納入した顔認証による本人確認システムが紹介された。

 テクノロジーの側面では、顔認証技術や虹彩認証技術、第5世代移動体通信システム(5G)など、ITとネットワークのコアアセットを「NEC Digital Platform」に集約・拡張するとともに、Amazon Web Services(AWS)Microsoftなどの大手クラウド事業者とのパートナー協業により、グローバル市場への展開を強化。これによって、日本を含むグローバルの企業のニーズに柔軟かつスピーディーに対応するとしている。

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 DX推進の3つ目の軸となる組織・人材の強化については、DX人材育成プログラムを再定義・整備し、社内人材のデジタルシフトを実践していく。現在、社内に5000人いるデジタル人材を2025年度までに1万人に倍増し、社内で実践している人材育成プログラムを「NECアカデミー for DX」として顧客にも提供する。「AI、セキュリティ、クラウド、デザイン思考で培った育成ノウハウを集結しデジタル時代に必要となるDX人材育成をワンストップで提供する」(吉崎氏)

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 今後は、量子コンピューティング、量子暗号などの量子技術や、ヘルスケア・ライフサイエンス、Beyond 5G/6Gなど最先端の技術を社会課題の解決に活用していくとしている。

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