信頼できるIT環境の境界内はもとより、境界の外でも情報を保護する「ゼロトラストセキュリティ」の考え方を、官民がそろって普及する動きが強まっている。経済産業省、金融庁、情報処理推進機構(IPA)などが、ここに来て相次いでゼロトラストに関する情報を発信しているのである。
経済産業省は5月12日に資料「DXオフィス関連プロジェクト管理業務等の効率化に関するデジタルツールの導入実証・調査事業」で、ゼロトラストを採用した業務環境構築について実証結果を共有している。6月24日には、IPAが「ゼロトラスト導入指南書」を、6月30日には金融庁が「ゼロトラストの現状調査と事例分析に関する調査報告書」をそれぞれ公表している。2つはいずれも、米国立標準技術研究所(NIST)によるレポート「SP800-207」を参考にしながら、市場におけるゼロトラストの理解を促している。
背景には、9月1日に発足したデジタル庁を意識し、関係各省庁などが情報収集に動いているとの指摘がある。企業のIT環境において、今後さらに重要性を増すと考えられるゼロトラストについて、最新の動きが分かる記事を集めた。