Arm、ソフトウェア定義自動車の開発に向けたフレームワークなど発表

Stephanie Condon (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-09-16 12:40

 自動車には、先進運転支援システム(ADAS)からインフォテインメントシステムに至るまでの、さまざまなソフトウェアが搭載されるようになってきている。しかしそれらソフトウェアの機能強化や能力向上が進むとともに、その開発や管理、配備、アップデートがますます複雑化している。

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提供:Arm

 Armは、こうした問題の解決に向け、ソフトウェア定義自動車の共通開発フレームワークを構築するという協調的な取り組みを主導している。同社は大手のテクノロジーパートナーや自動車業界のパートナーと協力し、車載アプリケーションが要求する安全性や即時性を念頭に置いて作り出された標準やソフトウェア、開発者向けリソース、専用の処理プラットフォームを開発しようとしている。

 Armの自動車部門担当バイスプレジデントChet Babla氏は、「私たちは、ソフトウェア定義のアプローチが、このソフトウェアの複雑さが増す状況に対処する上で有用だと強く信じている」と話す。「しかし、共通の開発フレームワークがなければ、業界はサプライチェーンの効率を最大化したり、イノベーションを加速させたりすることはできない」(Babla氏)

 Armのアプローチには核となる要素が3つある。1つ目は新たなソフトウェアアーキテクチャーとオープンソースによる参照実装だ。そして2つ目にはハードウェアプラットフォームの新たな参照実装が含まれている。3つ目の要素は、Amazon Web Services(AWS)やContinental、CARIADを含むパートナー企業との緊密な連携だ。

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提供:Arm

 この新たなソフトウェアアーキテクチャーと参照実装は「Scalable Open Architecture for Embedded Edge」(SOAFEE:組み込みエッジ製品向けのスケーラブルなオープンアーキテクチャー)と呼ばれている。このソフトウェアアーキテクチャーは、自動車が必要としている即時性と安全性に対してクラウドネイティブなアプローチを組み合わせることで、コンテナーやオーケストレーションといったクラウドネイティブなコンセプトを活用できるようにするというものだ。また、Armのパートナー企業による初期段階のワークフロー開発やプロトタイピングの支援に向け、オープンソースによるソフトウェア参照スタックがベースラインとして提供される。これらすべては、インフラ分野におけるクラウドからエッジに至るまでのソフトウェアとセキュリティの課題を解決するための「Project Cassini」と「Arm SystemReady」上に構築される。SOAFEEはこれらのコンセプトを自動車分野に拡大するものだ。

 現在、SOAFEE関連の資料と参照実装の初期リリースがダウンロード可能だ。Armは、今すぐ利用可能とすることで、クラウドベースの開発者らが未来のモビリティーに向けて自らの専門性を適用するための力になるだろうと述べた。

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 また、ハードウェアプラットフォームの新たな2つの参照実装により、自動車開発ワークロードの調査やテストをArmベースの高性能プロセッサーを用いて実施できるようになる。ArmはAmpere ComputingおよびADLINK Technologyと提携し、既存製品をベースにしたハードウェアプラットフォームの参照実装を開発した。その1つである「AVA Developer Platform」は、ラボベースでの開発用として生み出された、32コア搭載の高性能スケーラブルコンピュートシステムだ。このプラットフォームは、自動運転のワークロードを実行できる能力を有しており、開発者はアクセラレーターハードウェアを用いてCPUの処理を補完できるようになっている。

 2つ目の「AVA-AP1」プラットフォームは、車上でのプロトタイピングやテストのために生み出された高性能な参照実装だ。このプラットフォームはCPU性能を向上させるために80コアを搭載するとともに、追加の入出力機能を備えており、セーフティープロセッサーも搭載している。

 これらプラットフォームは、SystemReadyに準拠している。Armは、SOAFEEの標準フレームワークと、ハードウェアプラットフォームの参照実装を組み合わせることで、車載ソフトウェア/システムの開発が大幅に加速されるようになると述べた。どちらのハードウェアプラットフォームも先行予約を受け付けている。2021年第4四半期に一般提供される見通しだ。

 Armが主導するイニシアチブは、自動車サプライチェーンの企業などから広範なサポートを受けている。前出の企業のほか、Apex.AI、Green Hills Software、Linaro、Marvell、MIH Consortium、Red Hat、SUSE、Woven Planet、Zing Roboticsなどが支援している。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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