日本オラクルとアシストは9月14日、京王百貨店が全社的な戦略的情報活用基盤の刷新に「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)で提供される「Oracle Autonomous Data Warehouse」(ADW)を導入したと発表した。
京王百貨店は6つのサテライト店舗を含む8店舗の実店舗、京王ネット・ショッピングでのオンラインショッピングを運営しており、2018年よりデジタルトランスフォーメーション(DX)視点のレガシーシステムモダナイゼーションを進めている。
Oracle ADW上に、全社員が利用する顧客情報や販売情報などのさまざまなデータをシームレスに取り込める統合情報基盤「Keio Department Store Data Lake」(KDSDL)を構築することで、リアルタイムなデータ活用を促進し、顧客の変化や多様性に迅速に対応するデータドリブンな業務変革につなげる。
同社は、2019年10月にデータソースとなるERP(統合基幹業務システム)の刷新を行った。この際に、Oracle ADWをエンタープライズウェアハウスと位置づけ、OCI上に移行した既存のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを連携したKDSDLの稼動を開始した。
これにより、数千万件におよぶ大量のデータを数秒で処理できる高速な集計、応答性能を低コストで実現した。
またOracle ADWでは、自律機能により管理や拡張、監視、チューニング、バックアップが全て自動化されているため、データの増加にもデータベース管理者によるチューニングが不要となっている。これにより常に最適なデータベース性能を維持しながら、システム管理者の負担を大幅に軽減できている。
さらに、店頭POSからの全ての取引明細データをリアルタイムに受信し、店舗や売場といった管理レベルの集計をほぼリアルタイムなものとし、店舗におけるタイムリーな情報把握を実現した。
今回の戦略的情報活用基盤の刷新では、Oracle PartnerNetwork(OPN)パートナーであるアシストが提供する「Oracle Cloud環境構築支援サービス」、オラクルのコンサルティング部門が提供する「Rapid Start Service for Autonomous Data Warehouse Cloud」を組み合せ、約1カ月で構築および導入展開を実施できた。
具体的には、アシストがクラウド環境の設計・構築、「Oracle Cloud Infrastructure FastConnect」の専用線接続およびクラウド環境運用の支援を行い、オラクルのコンサルティング部門は既存のBIツールとOracle ADWの連携、データ移行をサポートした。
次に、これらの実績を踏まえ、さらにネット受注の配送連携強化を図るため、中元や歳暮時の店頭ギフト受注を一元管理するギフト配送システムを新たにギフトシステムと配送システムに分離したシステムに刷新し、OCI上の「Oracle Database Cloud Service」で稼動させた。
同システムのデータは全社員が利用可能なOracle ADW上のKDSDLに集積され、ネット受注の配送統合やバイヤーによるギフト購入のトレンド分析、人気商品の在庫切れの予防への活用など、商戦機会の最大化に活用されている。