Linuxカーネルの生みの親であるLinus Torvalds氏が、同カーネルの次期バージョンの2回目のリリース候補版「Linux 5.15-rc2」をリリースしたと発表している。
Torvalds氏はLinuxカーネルの開発進捗状況を日曜日にまとめて報告するのを恒例としているが、今回は「Linux v0.01」から30年が経過した点についても時間を割いて言及した。同氏は、Linux v0.01を1991年9月17日の夕方にフィンランドのヘルシンキからアップロードしたのだった。
この記念日には注釈が必要だ。というのも、米ZDNetのSteven J. Vaughan-Nichols記者が最近の記事で詳しく説明しているように、Linuxカーネルには複数の正しい「誕生日」が存在しているためだ。その1つは、Torvalds氏がLinuxのバージョン0.01に取り組んでいるとメーリングリスト上で公表した1991年8月25日だ。また、バージョン0.02がLinuxカーネル初の公式リリースになった1991年10月5日もそうだ。
しかしTorvalds氏は、バージョン0.01を数人の友人に向けて非公式にリリースした日も正しい誕生日と捉えてよいと考えている。
同氏は「バージョン0.01のリリースを公式に発表したことはなく、非公式にアップロードした事実を一握りの人々に電子メールで伝えただけであるため、ちゃんとした記録はない(当時の電子メールも残っていない)。おそらく日付を特定できる記録はLinux-0.01のtarファイルにしかないのではないかと考えている」と記している。
「ただ残念なことに、このtarファイル内に残されているタイムスタンプは最終更新日時であり、実際にファイルを作成した日時ではない。しかし、これらのファイルは午後7時30分頃(フィンランド時間)に更新されているようであるため、正確な誕生日は実際のところ、その数時間前になるだろう」(Torvalds氏)
そして同氏は「この日には発表こそしなかったが、さまざまな点から見て、30年前のこの日(9月17日)に実際にコードが生まれたことを考えると、ここで触れておくのがよいだろう」と付け加えている。
Torvalds氏は、5.15-rc2のリリースについて語る中、カーネルビルド時におけるすべてのコンパイルやコンフィギュレーションでデフォルト指定として9月に入ってから新たに有効化されている「-Werror」というビルドオプションについて言及し、「すべての奇妙な警告(ウォーニング)を解消するためにこの週のかなりの時間」を費やしたと記している。-Werrorは、発生するすべての「警告」を修正が必要な「エラー」として扱うというオプションだ。
Linux関連のニュースを扱うサイトであるPhoronixによると、警告をエラー扱いにすることでカーネルのビルドが停止し、一部のカーネル貢献者に問題がもたらされたという。