「物流2024年問題」にデジタルで業務効率向上を支援するCBcloudの可能性

阿久津良和

2021-09-29 11:39

 CBcloud(東京都千代田区)は9月28日、同社のサービスをメディア向けに紹介した。同社は個人事業主のドライバーや一般貨物自動車運送事業者と荷主をつなぐ配送マッチングプラットフォーム「PickGo」「PickGo for Business」「PickGo for Partner」、運送事業者の業務支援サービス「SmaRyu Truck」とスマートフォンで配送をサポートする宅配事業者向け業務効率化サービス「SmaRyu Post」を展開している。

CBcloud 代表取締役CEO 松本隆一氏
CBcloud 代表取締役CEO 松本隆一氏

 同社代表取締役 最高経営責任者(CEO) 松本隆一氏は配送実務者を取り巻く環境について「業界の多重下請け構造による『労働時間と成果の不均衡』、荷主と『対等でない立場、振り回される働き方』、『アナログで非効率な環境』などの課題を抱えている。われわれは(自社サービスを通じて)配送実務者の環境改善、価値の拡大を目指す」と語った。

「取ったもの勝ち」で収入は不安定

 CBcloudが9月に実施した同社登録済みの配送事業者(PickGoパートナー)に対する調査によれば、軽貨物を扱う個人事業主のドライバーは40~50代の男性が大半を占め、46.3%が他のドライバー業とPickGoを兼業している(有効回答数1612)。

 同社営業本部長 兼 パートナーズサクセス本部長 小原健氏は、配送時業者を取り巻く環境について「案件連絡が来た時点で安価な賃金。加えて案件は『取ったもの勝ち』で収入の不安定さにつながる」と現況を解説した。また、運送事業者の9割が中小企業であり、同社営業本部マネージャー 高橋洋平氏によると「資金や人材面からもデジタル化のハードルが高い」

 働き方改革関連法で年間の時間外労働時間の上限が960時間に制限されているが、その対象事業が自動車の運転手にもおよぶ“物流の2024年問題”についても「空車率や最適配車が一番の悩みの種。残業代が払えなくなってしまう」(高橋氏)

 配送マッチングプラットフォームのPickGoは、配送を希望する荷主と対応可能な配送事業者がエントリーすることで、両者を直接つなげるマッチングサービスである。小売店や飲食店における買い物代行や購入商品の配送で活用されているが、荷主が法人の場合は47都道府県で展開するPickGo for Businessが担う。

 配送事業者の対応に応じて加算される「PickGoスコア」、稼働当日に報酬を入金するなど配送事業者を優先したシステムを採用していることで7月時点のマッチング率は99.2%を数えるという。

PickGoの概要 PickGoの概要
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 運送事業者向け業務支援サービスのSmaRyu Truckは配送事業者の動態管理や依頼から配車状況の可視化、日報や請求書発行の作成を担う。CBcloudの説明によれば、SmaRyu Truck導入で運行車両への連絡時間は約75%削減、依頼書と発注書の作成も約90%削減、売上請求と請求書の作成も約95%削減した。

 宅配事業者向け宅配効率化サービスのSmaRyu Postは配達業務時に発生し、業務時間の約2割におよぶ事前のルート確認など煩雑な業務をデジタルで解決する。バーコードをスマートフォンでスキャンすることでドライバーに対するナビゲーションや配送状況の可視化を実現。同社の説明では配送効率が約50%向上し、運行前の作業時間を約50%削減したという。

SmaRyuシリーズの概要 SmaRyuシリーズの概要
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 前述の調査結果によれば、PickGoスコアが高いグループは平均換算時給が他者に比べて32.1%高く、PickGoパートナーになることで「自分のペースで仕事ができる(35.2%)」「自分のやりたい仕事ができる(15.5%)」といった声が上がった。荷主と配送時業者の関係についても、12万5000以上の個人や法人の荷主を持つことで「多種多様な案件を配送時業者に提供できる」(松本氏)

 CBcloudは配送時業者のオンライン(仕事ができる)状態を荷主に通知することで、効率的な案件獲得と収益向上を実現するシステムを6月から稼働させ、直近では荷主の案件に対して配送事業者の状況や繁忙期などにあわせて運賃を提示できるシステムを10月に実装する予定だ。

 松本氏は「足元である受注を(配送事業者の)需要にあわせた案件獲得で、配送事業者の働き方改革に貢献したい」と語った。

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