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Xboxをクラウドサービス化するマイクロソフト--Azure利用など裏側も語る

國谷武史 (編集部)

2021-10-01 07:00

 Microsoftは9月30日、Xboxのクラウドサービス「Xbox Cloud Gaming」の提供を10月1日から日本、オーストラリア、ブラジル、メキシコで開始すると発表した。メディア向けの発表会では、サービス提供に利用するAzureの仕掛けなどにも触れ、同社のクラウド戦略の概要を示した。

 発表の主な内容は、Xbox Cloud Gamingを通じて専用機のみならずPCやiOS、Androidの各端末でもXboxのさまざまなゲームをオンラインで利用できるというもの。「Xbox Game Pass Ultimate」という新メニューが提供される。説明会はコンシューマーゲームに関するものだが、ゲーム分野以外のメディアにも取材の呼び掛けがあった模様だ。記者も取材機会を得たため、主に担当しているエンタープライズITの観点からレポートする。

サービスのイメージカット(提供:Microsoft)
サービスのイメージカット(提供:Microsoft)

 発表会の冒頭でCloud Gaming コーポレートバイスプレジデントのKareem Choudhry氏は、「世界中のあらゆる人々をエンパワーするというわれわれのビジョンにおいて、Xboxではゲームプレーヤーが中心にいる。あらゆるユーザーがあらゆるデバイスを通じて、いつでも、どこにいても楽しむことができる新たな体験を提供する」と述べた。

 Choudhry氏によれば、ある調査ではゲーム専用機のユーザーの80%以上がPCやモバイルデバイスでもゲームを利用しているという。またプロダクトおよび戦略担当バイスプレジデントのCatherine Gluckstein氏は、「専用機のユーザーにとってクラウドのゲームはもう一つの新しい楽しみ方になり、彼らが所有するさまざまなデバイスに対してもXboxのゲームを解放することになる」とコメント、Choudhry氏も「既存ユーザーにとって新サービスは専用機の置き換えではなくゲームを楽しむ方法を追加するもの。他方では、Xboxの新しいユーザーの入口になる」と述べる。

 現在のゲームビジネスは、伝統的な専用機でパッケージソフトやオンラインサービスを利用するモデルに、昨今ではスマートフォンなどのモバイルアプリやブラウザーでオンラインサービスを利用するモデルが加わっている。従来のXboxは基本的に前者のモデルだったが、Xbox Cloud Gamingの提供は、Microsoftが2つのモデルを一体化させた格好だ。Choudhry氏と Gluckstein氏のコメントからは、あえて言えば、Xboxのビジネスモデルを“デジタルトランスフォーメーション(DX)”させる目的も含まれるように感じられた。

「Xbox Cloud Gaming」について説明したMicrosoft Cloud Gaming コーポレートバイスプレジデントのKareem Choudhry氏(写真上)とプロダクトおよび戦略担当バイスプレジデントのCatherine Gluckstein氏
「Xbox Cloud Gaming」について説明したMicrosoft Cloud Gaming コーポレートバイスプレジデントのKareem Choudhry氏(写真上)とプロダクトおよび戦略担当バイスプレジデントのCatherine Gluckstein氏

 両氏によると、Xbox Cloud Gamingを数年前から準備していたといい、実現に当たっては同社のAzureチームと密に連携したとのこと。まずXbox Oneのリソースを持つXbox Cloud Gaming専用のブレードサーバーを開発し、Azureのデータセンターに実装したという。2020年にはブレードサーバーを現行モデルのXbox Series Xベースにアップデートするとともに、Azureの世界各地のリージョンに展開して正式提供の準備を進めてきた。日本向けのサービスについては、日本のリージョンのデータセンターを用いるという(東日本リージョンか西日本リージョンかは明かされていない)。

 Gluckstein氏によれば、専用サーバーについては、汎用のGPUなどではなくXboxの専用機と同じものを採用して、サービスにアクセスするデバイスの環境に合せた最適なゲーム操作ができる処理を工夫したという。スマートフォンやタブレットのタッチ操作をネイティブサポートし、専用機などのコントローラーによる操作とは違った新しいゲーム体験を実現できるとしている。

 またChoudhry氏によると、Xbox Cloud Gamingの提供に向けてAzureデータセンター側でもプロセッサーやネットワークなどのさまざまなリソースを増強したといい、ここではKubernetesも利用していると明かした。ユーザーアクセスの増減の変化には、Azure Kubernetes Services(AKS)を利用して、リソースを柔軟に増減できるようにするという。なおChoudhry氏は、Xbox Cloud Gamingの利用には、ユーザー側に10Mbps程度の通信帯域が望ましいとも述べた。

 ゲーム開発者にとってもXbox Cloud Gamingは、一つの転換点になるとする。Gluckstein氏は、「Azureを新たに組み合わせることが、ゲーム開発者にさまざまな機会をもたらす。これには3つのステップがある。まずはリフト&シフトであり、専用機向けのゲームをクラウド化すること、2つ目は専用機以外のデバイスにもゲームを最適化していくステップ、最後がクラウドネイティブであり、クラウドのリソースをフルに活用した新たなゲーム開発になる。プレビューに参加した日本の開発者からも強く期待されている」と説明している。

 今回の発表とは別に、日本マイクロソフトは5月に産業分野別ソリューションをゲーム業界にも提供する方針を発表。ゲーム開発側に、同社のクラウドサービスを通じた生産性の向上あるいはビジネスを変革するためのソリューションの展開を本格化させた。

 Choudhry氏は、「クラウドはさまざまな境界の壁を突破する力をもたらし、さまざまな変化をもたらす。Azureのゲームビジネスでの活用はさまざまななエンタープライズユーザーにもシナジーをもたらすことが期待できる」と話した。そうした点で今回のXbox Cloud Gamingのリリースは、ゲームユーザーの枠にとどまらないクラウドによる変化をもらたしたいとする同社の狙いがあるようだ。

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