デル・テクノロジーズは、「GX:持続可能な未来のための取り組み」(GX=グリーントランスフォーメーション)と題したイベントを開催し、持続性についての取り組みと最新の技術について紹介した。
梱包材、製品の材料などで具体的目標を掲げるDell
ハイテク企業によるサステナビリティー(持続可能性)への取り組みは珍しくない。だが、Dell Technologiesは創業者のMichael Dell氏が大学の寮で起業した時から、「人類の進化を牽引するテクノロジーの創出を目指す」というミッションを一貫して掲げており、その一環として取り組みを重ねてきたという。
ここ数年を振り返ると、2013年にアフリカで「ソーラーラーニングラボ」として、太陽光発電パネルを備えたコンテナーにPCを用意し、いつでもPCを使って勉強ができる取り組みを開始した。2015年には、製品に再生炭素繊維の使用を開始し、2017年には海洋プラスティックを梱包材に利用する取り組みを行い、大きな注目を集めた。

デル・テクノロジーズ ソーシャル インパクト ジャパンリードの松本笑美氏
これら持続性に関する取り組みに加え、2010年に開始した女性起業家支援プログラムの「Dell Women's Entrepreneur Network」(DWEN)など、インクルージョン分野も含む社会貢献活動を展開している。日本のデル・テクノロジーズでソーシャル インパクト ジャパンリードを務める松本笑美氏は、「合計で約500万時間を社会貢献に注いできた」と話す。
個別に掲げていた目標の多くを達成したことから、「もう一段上」に取り組みを高めるべく、2019年に「Progress Made Real」として、2030年までの具体目標を立てた。そこで掲げているのが「2030 moonshot goals」だ。下記(画像1)のように、サステナビリティー、インクルージョン、ライフスタイル、倫理とプライバシーという、4つに対して目標を掲げている。

画像1
今回のイベントのテーマであるサステナビリティーについては、以下の3つの目標を定めている。
- 2030年までに顧客が購入した製品と同量の製品を再利用または再生利用する
- 梱包材については、100%再生または再生可能材料にする
- 製品部品の50%以上を再生または再生可能材料にする
リサイクルでは、法人向け、個人向けそれぞれにプログラムを展開している。また、サプライチェーン(供給調達網)レベルでも工場で働く労働者の人権環境責任などの倫理と環境への配慮を徹底しているという。
これらの成果が認められてDellは2021年、環境省にSBT(Science Based Targets)取り組み事例として取り上げられた。「サプライチェーン上流・下流(特に下流の顧客側)で温室効果ガスの排出量への対応の重要性を認識し、自社目標を検討してきた」などが評価されている。
パリ協定の目標にある2050年の温室効果ガス排出ネットゼロの取り組みでは、2030年までに50%削減する「SCOPE 1」、SCOPE 1に加えて2040年までに再生エネルギーを100%使用(2030年までに75%)する「SCOPE 2」、そして2030年までサプライヤーと協力して販売単価あたり60%の温室効果ガスを削減する「SCOPE 3」として進めていく(画像2、3)。

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