AI-OCR(人工知能による光学文字認識)技術を手がけるABBYYジャパンは10月5日、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)と自動化技術などに関する調査結果を発表した。日本企業ではDXの推進で経営層と中間管理職の間に大きなギャップが存在することが分かったとしている。
調査は、4~6月に英国、米国、フランス、ドイツ、日本の従業員1000人以上の企業のIT意思決定者に、DXプロジェクトの影響やビジネスが直面している障壁、コロナ禍で自動化技術が果たす役割について尋ねた。
それによると、DXの準備が整っていると感じている企業は平均で64%、日本は42%だった。日本の回答者の97%はDXプロジェクトで問題を経験しており、31%はDXの目標を達成できなかったと答えた。DXプロジェクトの方向性を変更する必要があったとする回答者は32%だった。
また回答者の39%は、組織内に必要なスキルを確保できないとし、従来のシステムをアップグレードするのが難しいという回答も32%に上った。29%は「どの技術を使用すべきか分からない」、28%は「どこから始めていいか分からない」と回答した。
こうした一方で、日本の経営層の67%は「自社が十分にデジタル化できる」と考えている一方、中間管理職では37%にとどまった。同社は、「新しい技術が社内にあるにもかかわらず中間管理職がDXを阻む要素が多いと回答しており、企業内に深刻な認識の差があり、DXに関する投資や機会が無駄になる傾向がある」と指摘する。
同社は、業務プロセスの現状を分析するプロセスマイニングツールの利用が業務の自動化に有効だとする。調査では、プロセスマイニングツールを導入している日本企業は32%、利用計画がある企業は42%だった。中間管理職の26%、経営層の50%がツールを利用する一方で、部門長などの要職者の50%、中華管理職の44%は従業員のフィードバックをよりどころにしている実態も分かったという。