松岡功の「今週の明言」

IT業界のベテラン経営者が説く新たなキーワード「オブザーバビリティー」とは何か

松岡功

2021-10-08 10:45

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、Sumo Logic ジャパン カントリーマネージャーの河村浩明氏と、NTTデータ イントラマート 代表取締役社長の中山義人氏の発言を紹介する。

「これからのデジタルビジネスはシステムの“オブザーバビリティー”が重要になる」
(Sumo Logic ジャパン カントリーマネージャーの河村浩明氏)

Sumo Logic ジャパン カントリーマネージャーの河村浩明氏
Sumo Logic ジャパン カントリーマネージャーの河村浩明氏

 ログ管理/分析のクラウドサービスを提供する米Sumo Logicの日本法人Sumo Logic ジャパンは先頃、今後の事業戦略についてオンラインで記者説明会を開いた。河村氏の冒頭の発言はその会見で、「オブザーバビリティー(可観測性)」という言葉を強調したものである。

 Sumo Logicは、デジタルビジネスを支えるシステムからログを収集し、モニタリングや分析を行うSaaS(Software as a Service)型サービスを提供している新興ベンダーである。

 同社のサービスの大きな特徴は、ハイパースケールのクラウドサービスにおけるログやメトリクスをリアルタイムに分析したり、アプリケーションやインフラをリアルタイムでモニタリングできる機能をクラウドネイティブで提供しているところにある。これにより、デジタルビジネスの競争力を向上できるのがユーザーメリットとなる。

 Sumo Logicが米国で設立されたのは2010年。2020年にはNasdaqに上場しており、現在グローバルで2100社以上が同社のサービスを導入しているという。日本法人が設立されたのは2018年10月で、今がちょうど丸3年となる。

 今回の会見全体の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは河村氏の冒頭の発言に注目したい。同氏はオブザーバビリティーの意味について図1を示しながら、次のように説明した。

図1:Sumo Logicが考える「オブザーバビリティー」(出典:Sumo Logic ジャパン)
図1:Sumo Logicが考える「オブザーバビリティー」(出典:Sumo Logic ジャパン)

 「オブザーバビリティーについてはさまざまなベンダーが自社サービスのセールスポイントとして掲げているが、その実効性はまちまちのようだ。当社としては、何か問題が起きているのかを監視するだけでなく、その問題がどこでどのように起きているのかを調査し、さらにはその問題が起きている理由を突き止めて解決するところまでをオブザーバビリティーと捉えて、大きな差別化ポイントとして前面に打ち出している」

 その上で、冒頭の発言が続いた格好だ。確かに、オブザーバビリティーとはこれまでログの管理などによるモニタリングが進化したソリューションというざっくりとしたイメージしか持っていなかった筆者だが、同氏の説明で腹にストンと落ちた感じだ。

 河村氏はこれまでIT業界一筋40年余り。EMCジャパンや日本オラクルで役員を務め、シマンテックやDropbox Japan、ソーラーウインズ・ジャパンなどのトップを歴任してきたIT業界のベテラン経営者で、今年5月にSumo Logic ジャパンのカントリーマネージャーに就任した。

 今回の会見の冒頭で、「Sumo Logicには非常に高いポテンシャルを感じており、私は今、とても燃えている。大いなる飛躍へ挑戦したい」と決意のほどを語った同氏。昨日10月7日で65歳に。同年代の筆者からもエールを送りたい。

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