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内山悟志「デジタルジャーニーの歩き方」

現場業務をデジタルで高度化するには--ビジネス最前線でのデジタル活用の着眼点とアプローチ

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2021-10-13 07:00

 多くの業界では、工場、建設現場、店舗などの現場での業務を抱えています。こうした現場は、これまでデジタル化が行き届いていない傾向にありました。しかし、現場業務の高度化はビジネスに直結するため、デジタル化への期待も大きい分野といえます。

ビジネスの最前線でのデジタル活用

 インターネット業界などの一部の業界を除き、ほとんどの業界が何らかの物理的な現場業務を抱えています。製造業の場合は工場や倉庫で、小売業では店舗で、運輸業や建設業では屋外で、それぞれ業務が存在します。こうした現場は、人手による作業が多い、地理的制約がある、PCなどのITツールが持ち込みにくいといった理由から、デジタル化が行き届いていない傾向にありました。しかし、スマートフォンなどのモバイルデバイスの普及、モノのインターネット(IoT)、ドローン、第5世代移動体通信システム(5G)の通信技術などの進展により、デジタル化の適用が急速に進みつつあります(図1)。

 製造業は、早期からデジタル化の影響を大きく受ける業種となることが予想されます。中でも、製造工程や品質の可視化、生産機械や設備の遠隔制御、製品の利用状況の可視化などでのIoTの活用が有望な分野の1つです。製造現場や倉庫・物流分野における人工知能(AI)やロボティクス技術の活用は高度化し、さらに自動化や無人化が進むと考えられます。ロボットアームや機器の遠隔操作、自動運行や無人運転も現実のものとなっています。

 流通業、とりわけ大規模な店舗を多数展開する百貨店、スーパーマーケット、量販店にとって重大な課題は、ネットショッピングに対する優位性の確保となるでしょう。そのためには、接客を含む店舗内業務の高度化と、リアル店舗ならではの買い物体験の提供が求められます。また、IoTを活用した顧客動線分析やデジタルサイネージを利用した店頭プロモーションなども注目されています。

 医療分野では、遠隔診療やロボティクス手術、医療画像や医療記録のデータ解析なども進展しています。建設・土木業界でも、建機の遠隔操作やドローンを活用した測量などが実用化されています。その他に、防災・防犯、高齢者見守り、エネルギーマネジメント、交通や物流の最適化など、さまざまな業界において現場業務のデジタル化が進むと考えられます。

現場業務のデジタル化の着眼点

 デジタル化によって現場業務を効率化したり、省力化したりすることも有効な施策ですが、さらに一歩進めて、業務そのものを不要にしてしまったり、これまでできなかったことを可能にしたりするような施策を実現するためには、現状の延長線上にあるような発想ではなく、これまでの常識を打破するような斬新なアイデアが必要です。その上で大切になる4つの着眼点があります(図2)。

 まずは、「(1)物理的な制約を回避できないか」という点です。これまで人手や目視で行っていた作業には、物理的な制約のためにデジタル化が進んでいないものが多くあります。点検、検品、保守といった業務の場合、ライブカメラやIoTなどで捕捉したデータに画像認識や分析を適用することによって、省人化・無人化できる可能性があります。

 次に、「(2)地理的な制約を回避できないか」という点も大切です。遠隔監視、遠隔診断、遠隔操作などネットワークを介することで、これまで実現できなかった「どこからでもできる」ということが実現する可能性があります。

 また、「(3)危険を軽減できないか」という視点も重要です。物理的作業には危険を伴うものも多く、高所や危険な場所でドローンやロボットを活用する事例も見られます。

 そして、「(4)暗黙知を形式化できないか」という観点もあります。現場作業には、ノウハウや経験といった暗黙知が必要な場合が多く、これらは人の頭の中にあるものですが、これを形式知化(データ化)して活用したり、機械が学習したりできるものもあります。

図2.現場業務のデジタル化の4 つの着眼点(出典:ITR) 図2.現場業務のデジタル化の4 つの着眼点(出典:ITR)
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