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内山悟志「デジタルジャーニーの歩き方」

現場業務をデジタルで高度化するには--ビジネス最前線でのデジタル活用の着眼点とアプローチ - (page 2)

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2021-10-13 07:00

観察と啓発で進める現場のデジタル化

 これまで業務改善のための情報化では、まず事業部門の現場スタッフなどに対するヒアリングによって、課題や業務要件を引き出すことが一般的に行われてきました。しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)ではこの手法が通用しない場合があります。現場スタッフは、現在の仕事や業務プロセスに慣れ親しんでいて、疑問を持たずに遂行していることがあるからです。

 また、目の前の不満や日々の問題は良く見えていても、俯瞰的な見方ができていなかったり、潜在的な問題には気付いていなかったりすることも珍しくありません。従って、現在の課題や問題点をあまり熱心に聴きすぎることで、業務そのものを大きく見直す可能性を見逃してしまったり、斬新な発想が生まれなかったりすることがあります。

 デジタル技術を活用した革新的なアイデアを発想するためには、ゼロベースで適用の可能性を探ることが求められます。これに対処する1つの方法としては、AIなどの技術を理解しており、他社での適用事例をたくさん知っている人が、先入観を持たずに業務現場をじっくりと観察して適用可能性を探ることが挙げられます。

 社内のIT担当者や社外のコンサルタントのような人材は、業務知識が不足していることがしばしば問題視されますが、あまり詳しく知らない方が、ゼロベースのアイデアや斬新な発想が生まれやすいということもあります。また、デジタル技術を詳しく知らない現場スタッフに対しては、「どのようなことが可能となるのか」「他社ではどのような活用事例があるのか」といったことについて啓発し、発見を呼び起こすという方法も考えられます。実機を使ったデモなどで体感してもらうことも有効です(図3)。

図3.現場業務のデジタル化のアプローチ(出典:ITR) 図3.現場業務のデジタル化のアプローチ(出典:ITR)
※クリックすると拡大画像が見られます

 現場業務のデジタル化では、これまでの業務をよく知るビジネスの最前線で経験を持ったスタッフと、ITやデジタル技術をよく知る人材による協調的な取り組みが不可欠です。重要なことは、IT側や業務現場側といった対立構造を作ることなく、互いが教え合い、意見を出し合い、対等に議論を尽くして取り組むことです。

内山 悟志
アイ・ティ・アール 会長/エグゼクティブ・アナリスト
大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストとして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任しプリンシパル・アナリストとして活動を続け、2019年2月に会長/エグゼクティブ・アナリストに就任 。ユーザー企業のIT戦略立案・実行およびデジタルイノベーション創出のためのアドバイスやコンサルティングを提供している。講演・執筆多数。

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