日立製作所は、SNSなどの顧客の声から未来を予測する「感性分析サービス」に、新しく「道徳」と「意外性」の観点で分析する「モラル分析」「意外性分析」を追加した。分析機能の導入だけでなく、反響分析のレポート提供や分析結果に対する施策立案までトータルにサポートする。
感性分析サービスは、人工知能(AI)を活用し、Twitterなどのテキストデータから企業や商品に対する反響を「感情」の観点で分析・可視化する。同サービスは、新たな商品企画や販売戦略、リスクの事前発見・炎上対策などのマーケティングをはじめ、さまざまなシーンで活用できる。
例えば、自動車メーカーのマーケティングに活用した場合、エンドユーザーの感情およびその感情に至った潜在的な価値観を分析することで、抱いた感情とその背景にある「内集団(集団を作り、維持しようとする道徳観)」などを重んじるという道徳的な価値観が分かる。このため、エンドユーザーの購買意欲を刺激するマーケティング施策を打ち出すことが可能で、また、当初想定していなかった反響を捉えることで新しいプロモーションも企画できるという。

今回強化した感性分析サービスの概要図(出典:日立製作所)
モラル分析機能は、学術的に裏付けられた道徳基盤辞書に基づき、東京工業大学の笹原研究室の助言をもとに開発。嬉しさや驚き、不満などの顕在化された感情の背景にある道徳的な価値観を定量的に可視化する。
また、意外性分析機能は、日立独自のアルゴリズムを活用し、大量のデータに埋もれていた小さな反響の変化など意外な情報を抽出する。

5つの道徳基盤とその内容(出典:日立製作所)
モラル分析機能は、 AIでテキストから特徴語を抽出し、5つの道徳基盤のどれに当てはまるか、各道徳基盤に順守・違反しているかを道徳基盤理論をもとに作成された道徳基盤辞書を用いて分類し、定量的に分析・可視化する。
また、意外性分析機能は、一定の件数があるものの感情分析機能やモラル分析機能では件数が少なく表示されなかった少数派の反響とその時間帯を抽出・可視化する。これにより、ある期間に突然出現する意外な単語や単語の組み合わせが分かるため、新たな気づきを得ることができる。
今後、日立は同サービスについて、マーケティングだけでなく人事、採用、人材育成といった人事領域までユースケースを拡大していく予定。
今回強化した2種類の機能の利用価格は全て個別見積もり。