デル、データ主導時代のエッジやアズ・ア・サービスモデルへの展開を示す

大河原克行

2021-10-11 06:00

 デル・テクノロジーズは10月8日、年次イベント「Dell Technologies Forum 2021 – Japan」をオンラインで開催した。今回は、「学ぶ」「つながる」「発見する」をキーワードに、グループ企業やビジネスパートナーが参加し、多数の基調講演やブレイクアウトセッションのほか、オンデマンドコンテンツや各種交流アクティビティーが実施された。

 今回の基調講演は、9月に移転した東京・大手町の新本社から配信された。「データ主導型の未来は、今ここに」をテーマに、講演の冒頭に登壇したDell Technologies会長兼最高経営責任者(CEO)のMichael Dell氏は、「コロナ禍で私たちのやりとりはリモートに切り替わり、どんなことも、場所を選ばずに実現できることが証明された。その世界の先には、エッジの展開が進んでいくことになるだろう」と切り出した。

Dell Technologies会長兼CEOのMichael Dell氏
Dell Technologies会長兼CEOのMichael Dell氏

 同氏は、現在データセンターの外で処理されるデータが全体の10%程度である一方、2025年までには75%のエンタープライズデータが従来のデータセンターの外やクラウドの外で処理されるようになるとする。データはエッジで生成され、より良い知見や結果に変換するために、エッジでのリアルタイム分析とインテリジェンスが活用され、今後10年ではエッジインフラストラクチャーへのCAPEX(設備投資)が7000億ドル以上になるとの見方を示した。

 「自律したインフラストラクチャーの実現を目指し、VMwareやパートナーエコシステム全体と最先端機能を緊密に統合し、エッジソリューションを革新すべく、デジタル変革(DX)のためのマルチクラウドプラットフォームを実現する。これらの全てを(アズ・ア・サービスの)APEXの一貫したクラウド運用モデルで提供し、煩雑さから解放するとともに、時間やエネルギー、投資をデータやアプリケーションに集中させ、ビジネスの成果や競争優位性を獲得してもらえるようにする。データ、コンピュート、ワークロードをエッジへ移動するテクノロジーの登場にワクワクしている」などとDell氏は述べた。

 日本市場の取り組みは、デル・テクノロジーズ 代表取締役社長の大塚俊彦氏が説明した。大塚氏は、同社が最近のグローバル年次イベントなどで示してきた「Moving Forward Together(ともに未来を創っていく)」という言葉を示し、「テクノロジーを活用したイノベーション、DXの必要性がさらに加速している。デルは1年半以上に渡りレジリエントな未来に向けて、数多くの取り組みを行ってきた」と切り出した。

デル・テクノロジーズ 代表取締役社長の大塚俊彦氏
デル・テクノロジーズ 代表取締役社長の大塚俊彦氏

 日本市場では「Power」シリーズに代表される戦略製品の投入、新本社での「5G Lab」や「AI Experience Zone」の設置、アズ・ア・サービスのビジネスモデルへの進出など「先端テクノロジーによるイノベーションの加速」、リモートワークの活用による「新たな働き方の追求」、世界25カ所の製造拠点を稼働させた堅牢なサプライチェーンによる「レジリエントなオペレーションの推進」、4つのテーマを掲げた「WIN2(Winning in New Normal)」の推進などによる「お客さまへの貢献」、環境・多様性・ライフシーン改革・倫理とプライバシーという4つの観点から2030年に向けたゴールを設定して取り組んでいる「2030 Moonshot Goal」をはじめとした「サステイナブルな社会への貢献」を推進していることを説明した。

デルの事業戦略
デルの事業戦略

 さらに、「ハイブリッドクラウド」「エッジ」「5G(第5世代移動体通信)」「データマネジメント」「AI/ML(人工知能/機械学習)」「セキュリティ」の6つの重点テクノロジー分野への積極的投資を示しつつ、「92%の企業がマルチクラウドに取り組んでおり、89%の企業がより俊敏でスケーラブルなITを求めている。91%の企業がリアルタイムインサイトの創出が重要だと感じている。同時にサイバーセキュリティ対策のプライオリティが上昇しているのが現状だ。このように、重点テクノロジーとして掲げた6つの分野でのイノベーションがますます重要になっている」(大塚氏)と述べた。

 WIN2で「ITの競争力強化」「xFHの実現」「デジタル競争力の確立」「社会インフラの変革」の4つのテーマで変革に取り組んでいることに加えて、APEXによるアズ・ア・サービス型の新たな選択肢を提案したことを強調。大塚氏は、「APEXはプライベートクラウドとパブリッククラウド、エッジをベストオブブリードで活用する提案であり、APEXコンソールを中核に、検索、発注、デプロイ、監視、最適化、拡張といったプロセスをエンドツーエンドでサポートする」と説明。新たに「APEX Data Storage Services」を提供し、APEXカスタムソリューションも強化し、APEX全体を日本で立ち上げていくとした。「ここではパートナーとの共創が重要になる。顧客との共創も大切」などと話した。

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