NECは10月11日、顔認証を行う際、写真、ディスプレイ表示、3Dマスクなどによるなりすましを高精度に検知する技術を開発したと発表した。同技術は国内企業で初めて、国際的な独立系第三者品質保証機関「iBeta(アイベータ)」による試験において、ISO規格(国際的な基準)に適合したという。同技術はモバイル端末での利用に最適化しており、利用が拡大している顔認証を用いたオンライン本人確認などの信頼性向上に貢献する。
iBetaは、さまざまなソフトウェアの品質保証サービスをグローバルで展開しており、特に生体認証の品質保証においては、米国国立標準技術研究所から認定を受けている。ISO規格に準拠した基準では、「レベル1」として顔写真やディスプレイに表示した顔画像の受入率(他人がなりすました際、本人であると認識してしまう率)が0%、「レベル2」として3Dマスクやマネキンなどの受入率が1%以下と設定している。
NECは今回、自社の生体認証「Bio-IDiom」の中核技術である顔認証技術の研究開発で培ってきたノウハウを生かし、なりすましを高精度に検知する技術を開発した。同技術はレベル1に加え、レベル2にも適合した。
さらに、本人の顔の拒否率(顔認証をした際、本人ではないと認識してしまう率)においても、iBetaの基準である15%以下を大幅に下回る5%以下を実現した。NECは同技術について、低いなりすまし受入率と本人拒否率を両立したと説明する。
加えて、コンピューターリソースが限られているスマートフォンやタブレット端末などで動作できるよう、なりすまし検知の処理を軽量化した。これにより、決済アプリケーションやウェブサイトなどモバイル端末で顔認証を行う際も、スムーズななりすまし検知と防止が可能となる。
NECは今後、同技術を用いてモバイル端末向けアプリケーションのほか、企業・施設・イベント会場の入退場ゲートや決済端末など、さまざまなシーンに対応した製品を提供し、顔認証の信頼性向上に貢献するという。