サントリーグループのサンベンドは、企業向け向けの会話型人工知能(AI)プラットフォーム「Kore.ai Virtual Assistant Platform」を採用した。Kore.ai Japanが発表した。これによりサンベンドは、3年後に現在の有人によるコールセンター業務のうち4割の自動化の実現を見込んでいる。
サンベンドは、同AIプラットフォームを活用して、自動販売機のコールセンターとして初のAIチャットボットによる顧客窓口の開設を目指し、システム構築を進めている。新システムが稼動すると、自動販売機の管理ステッカーに記載されたQRコードをスマートフォンで読み取ることで問い合わせサイトにアクセスでき、チャットボットでやりとりができるようになる。また、顧客関係管理(CRM)システムと連携することによって、問い合わせ内容がルートセールスあてに自動でメール通知されるようになる。
サンベンドが構築中のシステム概要図
サンベンドは、サントリーグループの自動販売機、飲料ディスペンサー、ビールサーバーなどの管理と運営およびコールセンター業務を行っている。全国にあるサントリーの飲料用自動販売機は数十万台という。同社は、このメンテナンスや機材の設置、引揚げ、また再投入に必要な機材のメンテナンス運営や部品リユースなども行っている。顧客対応するコールセンターは東京と沖縄にあり、入電件数は年間60万件以上になるとのこと。コールセンターでは慢性的な人材不足という課題を抱えていたという。
このため同社は、2018年に音声自動応答(IVR)を導入し、空き缶の回収や売り切れ品など対応に関する業務を自動化した。しかし、IVRでは対応可能な業務領域が限定的であり、さらなる業務の自動化を目指して、今回の導入に至った。
Kore.ai Virtual Assistant Platformは、独自の3つのエンジンを組み合わせた自然言語処理により、人と会話をしているような形で、高度な問い合わせ対応やアクションを実現する。テキストと音声に対応し、追加費用なく30以上の外部チャネルとの接続が可能。事前に作成したフローから外れる予測不可能な発言に対しても対話を継続でき、AIによる自己解決率は80%以上という。
サンベンドは、Kore.ai Virtual Assistant Platformについて、消費者からの問い合せ情報を担当のルートセールスへ連携するエンドツーエンドのコール自動化を実現できることや、オペレーターにつなげる必要がある場合は、その通話履歴や発信者の詳細をチャットボットから全てオペレーターに受け渡し、コールを容易に引き継げることなどを評価した。
また将来的には、チャットボットに対応と音声の対応を一つのプラットフォームに統合できること、新しいシナリオを作る開発環境が整っていることなども採用のポイントとなった。