Oracle傘下のNetSuiteは米国時間10月19日、フィンテック機能をクラウドERPに統合した新しいスイート製品「SuiteBanking」を発表した。同社がHSBCとの提携の下、展開するSuiteBankingにより、グローバルなデジタルウォレットや仮想決済カードなど、顧客に幅広い金融サービスを提供できるようになる。
この新しいスイートは、よりデジタル化および自動化されたプロセスを求める顧客の要望に応えたもので、社内の担当部署はベンダーへの支払いを手作業で処理しないですむようになる。
米ZDNetに対して、NetSuiteの世界フィールドオペレーション担当シニアバイスプレジデントのJason Maynard氏は、「要するに顧客は、『もっと早く支払いを受けたい』と言っているわけだ」と述べた。「中小企業にとってキャッシュフローは死活問題だ。そのため、現金回収プロセスをいかに加速させ、より賢明な支出を支援できるかという視点から取り組んだ」(同氏)
一方、HSBCのような大手銀行は、NetSuiteと提携することで、同社の急成長する中小企業の顧客基盤に働きかけることができる。NetSuiteの顧客数は、5年前の1万1000社から現在は約2万7000社と急増している。従来型の銀行企業は、この分野でフィンテック新興企業との競争が激化する中、顧客との距離を縮めるために、新しいサービスの提供方法を模索している。
Maynard氏は、「金融サービスの世界はかつてないほど動きが速い」とし、「どの金融サービス企業もテクノロジー側のイノベーションを活用する手段を理解しようとしている」と述べた。
HSBCは、NetSuiteがSuiteBankingで提携する最初の企業となるが、同社はすでに銀行とつながりがある顧客のために、提携先を拡大していく考えだ。
NetSuiteは、顧客が多くの個別のソリューションに対処しないですむよう、SuiteBankingで包括的なサービスセットを提供することに注力した。顧客は、買掛金処理、売掛金処理、銀行取引照合、経費管理などのサービスを利用できる。
また同社は、NetSuiteと外部ソースからのデータを分析できる新しい分析ツール「NetSuite Analytics Warehouse」も発表した。このツールは、「Oracle Analytics Cloud」と「Oracle Autonomous Data Warehouse」上に構築されている。顧客は、データを手作業で収集して、スプレッドシートや複数の可視化ツールを使って分析することなく、すべてのデータを活用できる。
このツールは、構築済みの安全なデータパイプラインを使って、顧客のNetSuite環境と自動的に接続する。そのためコーディングすることなく、スプレッドシートから非構造化データまで、複数ソースのデータを抽出し、変換、ロードできる。Dropbox、Salesforce、Google Analyticsなどのプラットフォームと接続できる25種以上のコネクターに加え、構築済みのメトリクスとKPIも含まれている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。