エクイニクス・ジャパン(エクイニクス)は10月20日、同社が実施した年次市場調査「グローバルインターコネクションインデックス」(GXI)の結果を発表するとともに、先日開設した大阪府第3のデータセンター「OS3」について説明した。
GXIではエクイニクスが持つデータと市場でのデータを組み合わせ、デジタルの成長を予測する。第5版となる今回は、2024年のデジタル、特にインターコネクションの状況について予測している。
同調査の結果について代表取締役社長の小川久仁子氏は、「(2024年には)デジタル戦略で進んでいる顧客企業において『クラウドファースト』は当然となり、デジタルでビジネスを最適化する『デジタルファースト』の段階に移ると明らかになった」と述べた。
エクイニクス 代表取締役社長の小川久仁子氏(出典:エクイニクス)
デジタルファースト戦略を行っている企業では、デジタルを活用したサービス展開を加速する「デジタルサービス」、デジタルサービスを使いながら自社の顧客と一層つながる「デジタルへの参加」、デジタルにより近い所でビジネスをする「デジタルへの近接性」という3つのトレンドが見られる。企業はデジタルサービスを「デジタルコア」、デジタルへの参加を「デジタルエコシステム」、デジタルへの近接性を「デジタルエッジ」とし、インフラストラクチャーの設計思想に取り込む。
インターコネクション帯域は、年間成長率が44%、年間データ転送量が85ZB(ゼタバイト)になると予想される。デバイスの数と転送されるデータの量は指数関数的に増加し、インターコネクションの構造は集中型から分散型かつ相互接続へ移行することが求められる。
日本のインターコネクションの年平均成長率(CAGR)は大阪府で50%、東京都で42%と見込まれる(図1)。大阪府では、中でもハイパースケーラー(グローバルな大規模事業者)の割合が高くなるとしている。
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エクイニクスは2021年事業戦略の一つとして、「関西エリアの強化」を掲げている。その理由として小川氏は、ハイパースケーラーによる開設が進んでいること、データのタッチポイント増加が求められていること、大阪府のCAGRが50%に上ることを挙げた。
同社が設立したデータセンターのOS3は、10月12日にサービスを提供開始した。「われわれは既に『OS1』を大阪府に設置している。各データセンターを単体で捉えるのではなく、OS1とOS3をファイバーでつなぎ、『大阪キャンパス』としてお客さまに使っていただきたい」と同氏は語った。
OS3の第1形態は2021年末までに完成し、約3070平方メートル(3万3000平方フィート)以上のコロケーションスペースと900ラックが提供される。最終形態では、合計8300平方メートル(約8万9340平方フィート)以上のコロケーションスペースに2500ラックが提供される予定だという。
同データセンターはOS1と共に、「Equinix Fabric」を含む幅広いインターコネクションサービスを提供する。このSDN(ソフトウェア定義ネットワーク)ベースのオンデマンドインターコネクションサービスにより、企業は東京都やグローバルに広がるデータセンター基盤「Platform Equinix」上で自社の分散インフラストラクチャーと他社の分散インフラストラクチャーを接続できる。大阪府の顧客は「Amazon Web Services」「Google Cloud」「Microsoft Azure」などのほか、ローカルクラウドサービスへの直接かつ安全なアクセスを確立でき、ハイブリッドマルチクラウドインフラストラクチャーへのニーズに対応することが可能となる。
エクイニクスの顧客は、NTT西日本やベライゾンなど、25社以上のネットワークサービスプロバイダーが参加するネットワーク密度の高いデータセンターキャンパスを利用できる。これらのネットワークサービスプロバイダーの一部はOS3にも展開し、顧客に直接接続を提供する。
同社は2020年以降、国内全てのデータセンターにおいて100%クリーンで再生可能なエネルギーを使用するという目標を達成した。OS3では、政府のグリーン成長戦略を支援するため、モーション起動型のLED照明、高温冷水セットポイントなど、多くのグリーン機能と対策を採用している。地震にも強いといい、自然災害から守るための複数の対策が施されている。