大阪大学とNECは10月25日、大阪大学・吹田キャンパスに「NEC Beyond 5G協働研究所」を11月1日に開設すると発表した。第5世代移動体通信(5G)以降の通信技術(Beyond 5G)と人工知能(AI)を活用して、「デジタルツイン」を高度に発展させた技術開発を目指す。
Beyond 5Gは、現在の商用移動体通信サービスの5Gに続く次世代規格の通称。2030年頃の導入が見込まれ、超広帯域、低遅延、広大なカバレッジ、詳細な位置測位が同時に実現されるというこの特徴を生かし、現実空間とサイバー空間がデータを介してつながり、人とロボットの共存や未来予測など、社会におけるさまざまなサービスや付加価値などが創出、活用されるデジタルツインのインフラとなることが期待される。
新設するNEC Beyond 5G協働研究所では、現実世界のセンシングやデータ処理、制御を即時に行い、制御によって変化した現実世界の状況を再びサイバー世界に取り込むことを目指すという。センシングデータに不確かな情報が混在することや、AIの認識による誤差、現実世界の環境が常に変化することなどを考慮して、現実世界を確率的に推定し未来を予測して柔軟に行動する「確率的デジタルツイン」を提唱するという。
また、この実現に向けて確率的な認識技術、ロボット制御、通信制御などの研究開発を行う。誤差を前提にした確率的な情報に基づく処理を行うことで、突発的な事象や現実世界の不確実性を許容できるようになるという。さらに実験ネットワークの運用により研究インフラの確保、ビジョンの積極的な発信を通じて、産学共創パートナーによる多様な実証実験や新たな人材の発掘・育成に取り組むとする。