スポーツ産業を“つなぐ”ことで価値創出--アビームが注力するスポーツ&エンタメ事業

藤本和彦 (編集部)

2021-10-28 11:10

 アビームコンサルティングは、さまざまな競技で活躍するスポーツ選手やチームをさまざまな形で支援している。スポーツ&エンターテインメント事業では、「スポーツ、エンターテイメントの世界に新しい価値を創出し、アジアの人々に夢や感動を与える」をミッションに掲げ、総合コンサルティング企業としての企画力、技術力、実行力、ネットワークを駆使した新しい価値創出を目指している。

 同社は、スポーツ産業の顧客基盤を「する人(選手)」「見る人(観客)」「支える人(監督・コーチなど)」に分類。それを取り巻くように、大きく5つのプレーヤーが存在するとしている。具体的には、選手、監督、コーチが所属するクラブ・リーグといった「コンテンツホルダー」、スポーツ産業を政策面で支援する「行政」、スポーツイベントが行われる「スタジアム・アリーナ」、スポンサーシップやスポーツ産業に商品・サービスを供給する「スポーツ推進企業」、スポーツ関連情報を発信する「メディア」になる。

 アビームコンサルティング コンシューマービジネスユニット 執行役員 プリンシパルの久保田圭一氏は「スポーツ産業で新たな価値を創出するためには、これらのプレーヤーが持つコンテンツと強みをつなぎ合わせ、する人、見る人、支える人のニーズに合致した商品・サービスを提供することが重要だ」と語る。

アビームコンサルティング コンシューマービジネスユニット 執行役員 プリンシパルの久保田圭一氏(写真提供:アビームコンサルティング)
アビームコンサルティング コンシューマービジネスユニット 執行役員 プリンシパルの久保田圭一氏(写真提供:アビームコンサルティング)

 アビームは、スポーツ産業のプレーヤーを“つなぐ”ことで、新たな価値を創出するエコシステムの構築を推進し、スポーツ産業全体の活性化を目指している。基本的には、顧客のターゲットエリアごとに課題を捉えて対応しているが、これまでのサービス実績は「新規事業開発」「戦略策定・実行支援」「タレントマネジメント」「パフォーマンス向上」「営業支援」「調査・データ分析」の各領域に分類されるという。

 その中の1つが、「スポンサーシップ特化型営業支援(SFA)ツール」の導入サービスになる。これは、中央競技団体、リーグ、プロスポーツチームのスポンサーシップ事業の持続的な成長のために、主要業務であるメニュー開発、セールス、アクティベーションの業務情報を一元管理し、業務高度化と効率化を実現するSFAの導入支援。

 スポンサーセールス業務の要件定義を通じ、SFA活用を前提としたPDCAサイクルを推進するための業務プロセスを構築し、従来のSFAでは実現できなかったメニュー開発、セールス、アクティベーションのPDCAサイクルに必要な各種業務情報を一元管理し、可視化する。また、利用者のトレーニングを通じてツールの操作方法の学習に加え、スポンサーセールス業務における課題発見から打ち手の検討を行う研修も実施する。

 タレントマネジメントの領域では、本田圭佑氏がプロデュースするソルティーロファミリアサッカースクールへの「コーチの評価制度導入」が挙げられる。「スクールの急拡大に伴いコーチを増やしていく必要があったが、コーチの品質を維持するためにしっかりとした評価制度の構築が求められていた。一般企業における従業員の評価制度と変わりないものだが、サッカースクールなどではこういうところに目が行き届いていなかった」(久保田氏)

 コーチの質の維持・向上によるサッカースクール事業の強化を図り、海外展開を踏まえた事業拡大のための組織作り、スクールの理念や指導方針の明文化、スタッフへの浸透を実現することを目的に、コンピテンシーと評価項目の作成のためのコンサルティングと育成を重視した人材マネジメントシステムの構築と導入を支援した。

 従来の評価指針には曖昧な部分があり、評価内容も不明確だったが、コンピテンシーとそれに基づく評価基準や取り組み方が明確になったことで、評価する側も評価される側も納得感を得ることができたという。

 新規事業の開発では、エイベックスと共同でダンス技術の定量化を実現する「ダンススキルのスコア化」に取り組み、国内外のダンス教育のデジタル変革(DX)を推進している。ダンス技術の定量化は長年業界の課題だったが、エイベックスの指導ノウハウとアビームの分析力を掛け合わせ、最新の骨格解析技術を活用することで可能になった。

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