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航空機製造でグーグルのAIを利用する三菱重工の取り組み

國谷武史 (編集部)

2021-10-28 06:00

 グーグル・クラウド・ジャパンは、製造業での取り組みについてメディア向けの説明会を開催した。その中で三菱重工業が、航空機製造の品質向上や生産効率化などにおける人工知能(AI)技術やデータ活用などの状況を紹介した。

 説明会の冒頭でグーグル・クラウド・ジャパン 技術部長の寳野雄太氏は、現在の企業におけるクラウド活用がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する段階に進み、同社は業界別に、AIやアナリティクス、トランザクションに着目したデータ活用のクラウドサービスを提供することで、これを支援しているとした。製造業向けには、例えば、AIを利用した画像認識による予防保存や機械学習(ML)アルゴリズムの継続的な開発、業務へのAIの適用といったケースを挙げた。

 また、AI/MLスペシャリストの児玉敏男氏は、サービスの一例として、5月に一般提供を開始した統合MLプラットフォーム「Vertex AI」に触れた。児玉氏によれば、AIやMLに容易に触れられるサービスが広がり実証実験などでAIのアルゴリズムを開発しやくなったものの、これを本番環境に実装して継続的に改善していかなければ、活用効果は得難いという。

「Vertex AI」のAutoML機能
「Vertex AI」のAutoML機能

 本番環境は実験環境よりも複雑で常に変化が生じるもので、実験的に作成したアルゴリズムのための学習データも変化の一瞬を用いるため、変化に対応して継続的に改善していく必要がある。Vertex AIは、AIを適用するビジネス全体を踏まえて継続的なMLの開発(MLOps)を支援するプラットフォームで、一般提供を開始して以降、APIコール数が3倍、MLのトレーニングデータが70%それぞれ増加しているという。

 三菱重工業は、広島市の江波工場で2020年にGoogle CloudのAIサービスを導入した。江波工場は、米Boeingの「777」や「767」など大型機のアルミ胴体部を製造、組み立てる施設としては国内最大になる。2017年には、世界で初めて多品種の胴体パネルの自動組み立てライン「M-PAL」を構築した。

三菱重工業 江波工場で製造する大型旅客機の胴体
三菱重工業 江波工場で製造する大型旅客機の胴体

 江波工場地域統括責任者で民間機セグメント エアロストラクチャー事業部 工作部 主幹の吉野秀明氏によると、民間航空機の生産需要は、コロナ禍以前に右肩上がりの成長が予想されたものの、コロナ禍で一変。2019年比で48~70%減少しており、以前の水準にまで回復するのが2024年頃になる見込みだという。

 江波工場では、当面の需要減に対応しつつ、将来につながる価値ある技術基盤の確立を目指しており、デジタル技術の実践とデジタル人材の育成に取り組んでいるとのこと。Google Cloudのサービスは、生産の自動化技術の高度化と労働集約作業の効率化を目的に利用している。M-PALにおいても乗降ドアなど狭隘(きょうあい)部における部品は熟練者が手作業で組み立てを行っているなど、自動化と効率化が課題であるという。

AIなどを利用している現場での課題
AIなどを利用している現場での課題

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