オーストラリアのニューサウスウェールズ(NSW)州政府は、半導体設計およびIP分野の地元企業を支援する新たな半導体ハブをホストする組織を探している。
同州のChief Scientist and Engineer Officeは、オーストラリアの半導体分野の実態を調査した後、新しい半導体ハブを構築する計画を提案した。現在、半導体の設計や開発を中核事業とするオーストラリアの大手企業は存在しない、とシドニー大学ナノ研究所の副所長のJames Rabeau氏は同調査で述べている。
オーストラリアの半導体産業は非常に小規模であり、「オーストラリアには資本と非資本の大きな障壁がある」ので、半導体ハブを構築する目的は新しい大規模半導体工場を作ることではない、と政府関係者は説明した。
その政府関係者は電子メールでの声明で、「その代わりに、(このハブが)重点を置いているのは、ニューサウスウェールズ州とオーストラリアの既存の半導体企業(製造と組み立てを行う企業も含むが、半導体の設計とIPを手がける企業を特に重視)が地元で規模を拡大し、国際的なサプライチェーンに接続して、より効果的に競争できるように支援することだ」と述べている。
Semiconductor Sector Service Bureau(S3B)という名称になる予定のこのハブは、シドニーのTech Centralに拠点が置かれ、ニューサウスウェールズ州政府から資金提供を受ける。
資金提供以外にも、州政府はS3Bの理事会に参加するが、ハブの設立と運営の責任はホスト組織が負うことになる。
組織やコンソーシアムが半導体ハブを運営することに対する政府の関心表明によると、ホスト組織は4つの主要な役割を果たすという。具体的には、仲介サービスの提供、半導体マイクロクレデンシャルコースの開設、半導体市場インテリジェンス機能の提供、そして、よりつながりが強固で、市場を意識した半導体エコシステムの構築だ。
政府によると、これらの役割のパフォーマンス指標はまだ確定しておらず、詳細は、成功を収めたホスト組織との契約で決定される予定だという。
州政府は現地時間10月19日より選定を開始しており、10月末まで組織からの関心表明を受け付ける。
雇用サービスプロバイダーIngeusの創設者であるTherese Rein氏は18日、オーストラリアがチップを製造できないのはなぜなのか、と疑問を呈した。
Rein氏は質問を投稿した後、「オーストラリアには、大量の砂がある」と述べた。「われわれは、製造から科学およびイノベーションの最先端まで、あらゆるものに影響を及ぼす世界的な半導体不足の解決に寄与することができる」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。