川崎汽船と日本IBMは、自動車船荷役作業の安全品質向上を目指し、IoTや人工知能(AI)を活用した実証実験を実施した。
同実証では、車両の走行スピード抑制、作業員と車両の接触防止、車両の追突防止、作業員のバイタル情報の収集について検証した。多様で複雑なデータを分析し、船内でのスピード違反やヒヤリハットの発生件数、発生状況を可視化することで、安全管理強化による作業品質の向上を目指す。
荷役会社協力のもと、船内にビーコン(位置情報センサー)、状況監視カメラ、スピード計測機器を設置してデータを収集した。また、AIによる画像認識技術を利用して、カメラ映像から自動車と作業員を分別し、接近状況が分かるようにした。ウェアラブルデバイスから心拍データも取得し、アルゴリズムを基に解析したデータから作業員のストレス傾向を把握した。
AIカメラによる監視(出典:日本IBM)
ウェアラブルデバイスによる作業員のバイタル情報の取得イメージ。電極付きシャツはミツフジが提供(出典:日本IBM)
データの分析基盤は、リモートモニタリングのソリューションであるIBM Maximo Monitorを活用し、IBM Cloud上に構築。IBM Maximo Monitorは、センサー情報の収集、管理、分析のため、大規模データのリアルタイム可視化、AIによる異常検知、構成可能なダッシュボードを提供する。日本IBMは同基盤を活用し、データサイエンティストが中心となってIoTアプリケーションの設計やデータ分析などを支援した。
川崎汽船は今後、今回の実証実験の結果を踏まえて、実装に向けたさらなる検証を進めていく。