本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、SAS Insutitute 共同創業者 兼 CEOのJim Goodnight氏と、エクイニクス・ジャパン 代表取締役社長の小川久仁子氏の発言を紹介する。
「厳しい時だからこそデータとアナリティクスを生かす重要性が高まっている」
(SAS Insutitute 共同創業者 兼 CEOのJim Goodnight氏)
SAS Insutitute 共同創業者 兼 CEOのJim Goodnight氏
米SAS Insutitute(以下、SAS)の日本法人SAS Insutitute Japan(以下、SAS Japan)は先頃、プライベートイベント「SAS FORUM JAPAN 2021」をオンラインで開催した。SASの共同創業者 兼 CEO(最高経営責任者)であるJim Goodnight(ジム・グッドナイト)氏の冒頭の発言は、同イベントで基調講演を行ったSAS Japan 代表取締役社長のMichael King(マイケル・キング)氏が紹介してリモートで出演する形で述べたものである。
SASの“カリスマ経営者”であるGoodnight氏が日本の顧客やパートナー企業向けにメッセージを肉声で発信するのは貴重な機会なので、筆者も耳を澄ませて聞いた。
冒頭の発言で「厳しい時」と語ったのは、もちろん「コロナ禍」のことだ。同氏はこの発言に続けて、「データを見ることで、いつ安全に移動や旅行ができるのか、いつ出社の再開が可能かの判断ができる。データやアナリティクスを日常生活の重要な要素として活用すれば、困難な問題にも答えを見いだすことができる」と語気を強めた。
さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)については、「企業にとってDXは、データやアナリティクスを活用して効率化や収益改善を図ることができる。SASを活用して、ぜひ“DXジャーニー”を推進していただきたい」と説明。続けて、「SASは日本のお客さまと30年以上に渡ってパートナーシップを構築してきた。今や、日本では世界最大級のSASコミュニティーが形成されている。今後もデータをインテリジェンスの世界に変えるパワーを提供していきたい」と、日本に向けてメッセージを発信した。
基調講演ではKing氏も、「データを正しく使ってこそDXが可能になり、インテリジェンスを生み出してくれる。それを実現するのがアナリティクスだ」と力説。さらに、「時代はまさにAIだ。AIはアナリティクスの一部であり、故にSASはお客さまに究極の価値をお届けできるユニークな立ち位置にいる」と訴えた。
なるほどと思ったのは、King氏が「AIはアナリティクスの一部」と話した時に、図1のようにまさしく一部であることを示したからだ。文字を使ったギャグでもあるが、真剣に話すKing氏に親近感を覚えた。
図1:「AIはアナリティクスの一部」と説明。右側はSAS Insutitute Japan 代表取締役社長のMichael King氏(「SAS FORUM JAPAN 2021」より)
SASは2024年までに新規株式公開(IPO)を行う意向を表明している。Goodnight氏にすれば「第二の創業」との思いだろう。筆者は直接お会いしたことはないが、これまで幾度が映像を拝見して、長年に渡って組織のトップを張って実績を上げてきたカリスマ経営者ならではの「時折見せる厳しい表情」に強い印象がある。掲載した写真は今回のスピーチ時に撮ったものだが、柔和な表情のものを選んでおいた。