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NTTやJR東日本ら、AI活用の空調制御でオフィスロビーの消費エネルギーを約半減

大場みのり (編集部)

2021-11-02 13:08

 NTT、JR東日本、NTTファシリティーズ、NTTデータは、NTTが開発した「空調最適制御シナリオ算出技術」を「JR新宿ミライナタワー」のオフィスロビーへ適用する共同実証を実施した。その結果、夏季のオフィスロビーの快適性を維持しつつ、消費エネルギー量を約50%削減できることを実証した。

 この成果は、NTTの環境エネルギービジョン「NTT Green Innovation toward 2040」とJR東日本グループの環境長期目標「ゼロカーボン・チャレンジ 2050」に基づき、両グループが目指すカーボンニュートラルの実現に貢献すると期待される。

 これまで商業ビルやオフィスビルといった大規模ビルにおける通路やロビー、ラウンジなどの共用部の空調制御には、センサーからの信号に基づく制御(フィードバック型制御)やビル管理者の経験に基づいた制御が用いられてきた。だが、従来の技術では空調の制御が室内環境に影響を及ぼすまでの時間差を考慮することが難しいほか、時間差を考慮するには温湿度や人流といったデータを長期間計測して分析する必要があるため、実際のビルにおいて消費エネルギーを抑えつつ快適な環境を実現することは困難だった。

 そこで、IT活用で2040年度までにカーボンニュートラルの実現を目指すNTTグループと、ESG(Environment, Social, Governance)経営の実現とビルの魅力向上に取り組むJR東日本グループは、ビルにおける魅力向上と消費エネルギー最適化の両立に向けた実証実験を共同で実施してきた。特に、ビルの消費エネルギーの約50%を占め、かつ来館者や入居テナントの快適性に深く関わる空調機の運転最適化を検討してきた。

 同実験では、NTTスマートデータサイエンスセンタが開発した「空調最適制御シナリオ算出技術」を夏季のJR新宿ミライナタワーにおけるオフィスロビーの空調運転へ適用した。この技術には、移動体を含む地理空間の位置情報基盤「4Dデジタル基盤」が用いられている。

 実験では、NTTが空調最適制御シナリオ算出技術の開発、JR東日本が検証環境とビル運用における課題・ニーズの提供、NTTファシリティーズがビル運用技術・ノウハウの提供、NTTデータが開発環境の提供・同成果を踏まえた実用化の検討を担当した。

空調最適制御シナリオ算出技術の概要 空調最適制御シナリオ算出技術の概要
※クリックすると拡大画像が見られます

 この技術では、以下の処理に基づいて最適な空調運転シナリオを算出している。特に、コンピューター流体力学と機械学習の組み合わせによって、短期間での計測による少量データからの快適性予測を実現している点と、深層強化学習を用いることでビル内の広い共用空間において生じる、空調が室内環境に影響を及ぼすまでの時間差も考慮したフィードフォワード制御を行う点が特徴だという。

  1. 来館者の数、外気温、空調運転状況、室内の温湿度を用いて、機械学習技術とコンピューター流体力学を組み合わせることで、快適性指標のPMVを少量の計測データから予測
  2. 予測されたPMVを基に最適な空調運転設定を算出する処理を1日分繰り返し行いながら最適化する深層強化学習を用いて、対象日における最適な空調運転シナリオを算出

 上記によって算出された空調運転シナリオを適用したところ、PMVを快適な範囲内に保ちつつ、空調機が用いる消費エネルギー量(冷水熱量)を、従来の同気候日における空調運転時と比較し、約50%削減できることを確認した。この結果は、深層強化学習を用いた空調最適制御シナリオ算出技術が、実際のビルにおける空調の最適化に役立つことを実証したという。

 来館者数・外気温・空調運転からの快適性(PMV)予測と調最適制御シナリオ算出技術により、時間差も考慮したフィードフォワード制御による空調最適化を可能にした。従来は2カ月以上の測定データを要した室内快適性の予測に、コンピューター流体力学と機械学習を組み合わせることで、最短3日間の測定データから快適性を高精度に予測でき、実際のビルへの導入を短期間で実現した。

 今後、NTTグループとJR東日本グループは、同成果の導入拡大を共同で推進し、ビルの魅力向上と消費エネルギー量削減に取り組む。併せて、NTTデータとNTTファシリティーズにおいて、同サービスの実用化の検討を進める。NTTグループとJR東日本グループはそれぞれカーボンニュートラル実現に向けて取り組み、政府が目指す2030年に温室効果ガスを2013年度比で46%削減するという目標と「2050年カーボンニュートラル宣言」の実現に貢献したいとする。

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