日本製鉄は、総務省からローカル5G(自営型第5世代移動体通信システム)の免許(4.8GHz帯)を取得したことを受けて、日鉄ソリューションズ(NSSOL)と日鉄の室蘭製鉄所において製鉄製造現場におけるローカル5Gの適用検証を共同で開始する。
2021年末に、ローカル5GのSUB6帯(4.6~4.9GHz)の利用が可能となる法律が整備されたことに伴い、NSSOLが国内販売代理店を務めるノキアソリューションズ&ネットワークスにて無線機器の開発が完了したことから、これまで取り組んできた自営無線網の第2段階としてローカル5Gを用いる適用検証に着手することとなった。
今回の検証は2022年1月に開始する。4.8GHz帯を用いるスタンドアロン構成で、ローカル5Gの制度上の上限である63ワットの出力を可能にするものとなる。制御信号に4Gの無線を必要としないフル5Gシステムでの検証となり、10月26日時点で公開されているローカル5G無線局の中で国内最大出力となる。
ローカル5Gの電波照射範囲
日鉄では、大出力の無線局を東西3キロ、南北2キロを超える広大な製鉄所構内に対して適用することで、効率的なエリア構築をめざす。
ローカル5Gの適用では、これまで検証してきたローカル5Gの4G(LTE)版である「自営等BWA(Broadband Wireless Access)」で発生したさまざまな制約が高速・大容量、低遅延、多数端末接続といった5Gの特徴により、どのように解消されるのかを確認する。
これらの特徴を生かして遠隔運転に向けた伝送技術の確立、工場のデジタルツイン化、スマートファクトリー化の推進していくことで、製造現場における5Gネットワークによるデジタルトランスフォーメーション(DX)実現をめざす。
今後、室蘭製鉄所で得られた成果に基づき、他製鉄所への横展開、日製グループ各社の製造現場への展開も検討していく。