IDC Japanは、日本と世界の企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)動向を比較した調査の結果を発表した。日本と比較して世界は、DXを実装しビジネス的な効果を計測している段階に進んでいることや「カスタマーアドボカシー」(顧客からの支持)および「従業員のアドボカシー」(従業員からの支持)に対して高い意識にあることが分かったという。
比較調査は、DX実践企業のマネージャーや経営者を対象に、DXの戦略、戦術、予算、重要業績指標(KPI)、課題、組織/文化、IT基盤などをアンケートした結果を分析したものになる。
それによると、DX推進状況を測るためのKPIは、世界の回答率が高く、「標準的な指標(売上、利益、効率性、投資対効果など)」では日本と17.0ポイント差、カスタマーアドボカシーでは13.0ポイント差、従業員のアドボカシーで13.3ポイント差だった。
標準的な指標の回答率が、日本より世界が高いことについて同社は、世界の企業がDXを実装してビジネス的な効果を計測している段階に進んでいることを表していると指摘する。カスタマーおよび従業員のアドボカシーが高いことも、DXの影響を企業の内部および外部環境から計測していると分析。従業員の支持が顧客からの支持に与える影響や、売り上げなどへの影響に対する意識の高さの表れであり、企業のブランドやパーパス(目的)、製品/サービスなどに対する「ファンづくりに関する指標」に対して高い意識にあると見る。
一方でDX推進上の課題は、「必要なテクノロジーを持った人材の不足」が国内で42.0%、世界が22.7%であり、日本が突出して高いとする。「推進するリーダーシップの不足」でも日本が26.0%、世界が8.8%だった。とリーダーシップについては不足しているとは言えない状況にあります。この他に差があるものとしては、「実施のための予算が不足」(11.6ポイント差)、「変革に対する社内の抵抗」(6.0ポイント差)が挙げられた。
これらについてIDC Japanは、世界の企業がリーダーシップの下にDXを実装している段階で、社内組織からの変革に対する抵抗や変革を実現するための予算不足に直面している状況にあると分析。日本企業はこれから直面していく課題だろうと指摘している。
日本と世界の企業におけるDXのKPIの比較、国内企業で回答の多かった選択肢の順に表示(出典:IDC Japan、2021年11月)