サッポロビールは、日本IBMと人工知能(AI)技術を活用した商品レシピ作成のテスト運用を行い、その結果を踏まえて2022年に実装すべく協議を進めていくと発表した。熟練技術によるRTD(栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)商品の開発のデジタル化を目指している。
サッポロビールでは、140年以上の歴史における熟練技術の伝承において、技術習得に長い時間を費やすことが課題であるとし、今回はRTDの新商品開発のデジタル化を目標としてAIを用いた開発商品レシピの作成をテスト運用した。日本IBMは、サッポロビール内に蓄積されたデータの分析とAI予測エンジンの導入を支援したという。
この取り組みにおけるシステムでは、まず過去のレシピの官能評価データと採用された香料の特徴に関する情報をAIに学習させた。その上で立案した新商品のコンセプトから香味の特徴と、目標とするプロファイルを入力。AIが学習したデータを分析し、目標とするコンセプトや香味プロファイルに合致するレシピ(推奨配合骨格と推奨香料)を出力する。
テスト運用では、出力結果のレシピから作成した試作品が立案しているコンセプトに合致した良好な香味であることを確認。レシピの検討時間も従来の半分以下に短縮されたという。
こうした結果を踏まえ、新システムで熟練技術の伝承と新商品のレシピの効率的な考案が実現されるほか、膨大な配合データを用いた新たな味づくりなど、従来の手法では困難な、人では思いつかないような創造性を伴う商品レシピの開発も期待されるとしている。
取り組みのイメージ(出典:サッポロビール)