IBMから米国時間11月3日に分社化し、マネージドインフラサービス大手として独立したKyndrylは4日、公開企業としてニューヨーク証券取引所に上場した。同社の行く手には、イノベーションの促進、売上高の成長、一体感のある従業員文化の形成など、さまざまな課題が待ち受けている。
Kyndrylの最高経営責任者(CEO)Martin Schroeter氏は、最初の投資家説明会で、Kyndrylは「イノベーションへの注力を強化して、新たな市場機会を開拓し、当社の経験とIPを活用して顧客に貢献していく」と述べた。
Kyndrylは、売上高190億ドル(約2兆1000億円)と従業員約9万人を擁する最大規模のインテグレーターとなる。Gartnerによると、同社はインプリメンテーションサービスのリーダーとなり、DXC、Atos、富士通、Accentureが続く。
Kyndrylは63カ国で事業を行い、75万台の仮想サーバー、27万台のネットワーク機器、そして2万5000台のSAPおよびOracleのシステムを管理する。
Schroeter氏の計画は今後、インプリメンテーションサービスとマネージドサービスを、より成長が見込める分野へと拡張するというものだ。つまりKyndrylは、インテリジェントな自動化、データサービス、クラウドサービス、セキュリティなどで、より多くの価値を提供することで、デジタル変革を支援したい考えだ。
企業はデジタル変革に着手しており、Kyndrylが顧客のインフラを簡素化する中でも、同社は拡大する時間があるとみている。また、顧客が環境、社会、ガバナンスの課題に対処できるように、ESGプラットフォームと戦略を提供するという。
Kyndrylが目指す主要分野は、以下の通り。
- ストレージシステムの管理にとどまらず、データエンジニアリング、オーケストレーション、キューレーションに重点を置いたデータサービス。下記の分野を中心にサービスを提供していく。
- 「IBM Cloud」を超えた、より広範なエコシステムを対象としたクラウドインフラサービス。
- アプリケーション、データおよび人工知能(AI)マネジメント
- デジタルワークプレイスサービス
- セキュリティとレジリエンス
- ネットワークとエッジコンピューティング
Kyndrylは実際に、拡大できる顧客基盤を有している。4000社以上の顧客を抱えていながら、上位10社からの売上高の15%だという。同社はFortune 100の75%に相当する企業を顧客に持つ。顧客関係の平均年数は10年以上だという。
今後は、同社の軸足をインプリメンテーションからイノベーションへと移すことが課題となるだろう。