Microsoftは、米国時間11月2日から開催されたオンラインイベント「Ignite」で、30年以上にわたって提供され続けている同社のリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)「SQL Server」の次期バージョンである、「SQL Server 2022」のプライベートプレビューが開始されたことを明らかにした。同社はSQL Server 2022について、「史上もっともAzureを活用できるSQL Serverのリリース」だと述べている。
前回のリリース(「SQL Server 2019」)では、「Azure Data Studio」や「ビッグデータクラスター」といったコア機能に焦点を当てていたが、今回のリリースは、Microsoftがハイブリッドクラウドについて語っている物語を完成させることに重きを置いたものになっている。このためSQL Server 2022は、オンプレミスで動かす場合でも、クラウドでしか利用できない多くのサービスと連携させることができる。
Managed Instance、Synapseとのリンク
これらのクラウド連携機能の1つに、SQL Serverのクラウド版であり、Microsoftが管理するマネージドインスタンスである「Azure SQL Managed Instance」との統合も含まれている。このクラウドとの統合によって、HA/DR(高可用性/障害復旧)の両方が強化されると同時に、ダウンタイムをほぼゼロに抑えたクラウドへのスムーズな移行も可能になる。また、「Azure SQL」との親和性を高めるもう1つの機能として、SQL Server 2022にもAzure SQL Databaseが持っている台帳機能が実装された。Azure SQL Database台帳は5月に発表されている。Azure SQLが持っているのと同じブロックチェーン技術を使用した機能をSQL Serverに持ち込んだ形のようだ。
さらにMicrosoftは、SQL Server 2022のリリースを機に、SQL Server版の「Azure Synapse Link」を導入した。この「Azure Synapse Link for SQL Server 2022」は、Cosmos DB版と同じように、SQL Serverのデータを「Azure Synapse Analytics」にレプリケートしてくれるもので、これを利用すれば、運用データをSynapse Analyticsに入力するためのデータパイプラインを、顧客が自分で構築しなくても済む。ただし、Cosmos DB版とSQL Server版の実装には、いくつかの違いもあるという。
ガバナンス、パフォーマンス
SQL Server 2022は、クラウドベースのデータガバナンスプラットフォームである「Azure Purview」に統合させることができる。これは、Purviewのガバナンス対象に、オンプレミスに保存されているSQL Serverのデータを含めることができるということだ。これには、管理操作を集中管理するためのPurviewのポリシーを、SQL Serverのデータに適用することも含まれる。