日立製作所とcbsは、ビジネスパートナー契約を締結し、日本企業向けの既存の基幹システムからSAP S/4HANAへの移行サポートに関する協業を開始した。
cbsはドイツに本拠を置くコンサルティング会社。ドイツ国内に9拠点、海外10拠点を持ち、グローバルでデジタルトランスフォーメーション(DX)およびエンタープライズ全体のソリューションを提供する
協業では、SAP S/4HANAへの移行を検討する企業に対し、構想の策定から移行準備、システム移行・導入、保守に至るまで、SAPパートナーである両社が豊富な知見を生かしたコンサルティングを行う。また、cbsの高度な独自ツールを活用したデータマネジメントによりスピーディーかつ効率的なシステム移行・運用を支援していく。
両社が連携して提供するサービスの構想策定フェーズで、日立はLumadaの顧客協創方法論「NEXPERIENCE」をベースとしたワークショップで業務のあるべき姿を描き、共有した上で、経営基盤のシステム刷新にフォーカスした構想策定を実施する。これらをベースにシステムアーキテクチャーとデータ収集・活用プロセスの最適化に向けたロードマップを具体的に示す。
構想策定では、移行による影響を機能面だけでなくデータの観点でも分析が可能で、cbsの「SAP S/4HANA Readiness Analysis」を用いて既存システムのマスターやコードの標準化レベルやデータ蓄積状況などを解析する。これにより、将来的なデータ活用に向けた改善ポイントを明確化できるという。
また移行準備フェーズでは、日立が段階的なクラウド移行やプロセス変革を支援する。また、基幹システムとクラウドサービスを組み合わせた運用に必要なマスターデータ管理やデータ連携の見直し、長期間利用されているSAP環境の事前のデータクレンジングについては、cbsのコンサルティングチームと日立が連携して的確に支援していく。
移行・導入フェーズでは、日立は経営基盤のデジタル化の目標達成に最適な手法(新規導入、ミックス&マッチ、シェル構築、システムコンバージョン)でのSAP S/4HANA導入を支援していく。また、選択的データ移行に関する世界初の専用ソフトウェアである「cbs ET Enterprise Transformer for SAP S/4HANA」を用いることで、ダウンタイムを最小限に抑えながら確実な移行を実現していく。
ミックス&マッチやシェル構築は、既存環境を有効活用する手法で、選択的データ移行は複数あるSAP環境の統廃合において経営情報のデジタル活用に必要なデータのみを移行することをいう。