オーストラリアのニューサウスウェールズ(NSW)州政府は、同州の輸送ネットワークの改善を目的とした量子テクノロジーセンターを新たに設立することを発表した。
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この量子テクノロジーセンターは、量子テクノロジーを輸送管理に活用することを目指す州政府の新計画の一環である。
運輸道路大臣のRob Stokes氏によると、量子テクノロジーを使用することで、遅延の減少、信頼性の向上、移動の最適化に必要な計算能力を高めることができるという。
このテクノロジーによって、NSW州の輸送能力が自動運転車や人工知能、スマートセンサーと相互作用する「自己修復ネットワーク」になると考えている、とStokes氏は新計画の発表の際に語った。
「それによって、NSW州の運輸省が顧客にパーソナライズされたリアルタイム情報を提供し、移動の速度と安全性、信頼性を向上させることも可能になるかもしれない」(同氏)
NSW州の運輸省は先週末、路面電車の車両に亀裂が生じたため、ライトレールサービスの一部が18カ月間にわたって廃止される可能性があると発表した。
量子テクノロジーセンターはシドニーのTech Centralに拠点が置かれ、まだ任命されていない量子ディレクターと量子テクノロジーフェローが指揮を執る。また、ニューサウスウェールズ大学(UNSW)のMichelle Simmons教授を含む、政府、産業界、および大学の関係者で構成される専門家諮問委員会の協力も得る予定だ。
ニューサウスウェールズ州政府は先頃、信頼性の高い長距離の機密通信を可能にするため、「統合された海中音響通信およびセンシングテクノロジー」の開発に50万豪ドルを割り当てたことも発表している。
NSW Defence Innovation Network Strategic Investment Initiativeによって開発されるこのプロジェクトでは、直交時間周波数空間(OTFS)信号に基づくプロトタイプが作成される予定だ。
このプロジェクトは、AUKUSの安全保障協定で提案された目的を達成する取り組みの一環である、と産業貿易大臣のStuart Ayres氏は述べている。
「この重要な機密を扱う海中センシングおよび通信プロジェクトは、産学の協力関係の強化を通して、より大きな機会を生み出し、防衛テクノロジーの商業化とニューサウスウェールズ州での雇用創出を実現するだろう」(Ayres氏)
これは、マッコーリー大学、ニューカッスル大学、シドニー大学、シドニー工科大学、ウーロンゴン大学、ニューサウスウェールズ大学(UNSW)、ウエスタンシドニー大学の共同プロジェクトである。
ニューサウスウェールズ州政府は10月、半導体設計およびIP分野の地元企業を支援する新たな半導体ハブのホスト組織を探していることも発表した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。