NVIDIAは企業が「Omniverse」を活用できるようにするためのさまざまな施策を発表した。さまざまなワークフローを仮想空間に拡張するためのプラットフォームであるOmniverseの拡大計画は、米国時間11月8日から開催されている秋の「Graphics Technology Conference(GTC)2021」で発表された内容の1つだ。
提供:NVIDIA
NVIDIAの最高経営責任者(CEO)Jensen Huang氏は、「Omniverseが倉庫、施設や工場、そして物理的、生物学的なシステムのデジタルツイン、5Gエッジ、ロボット、自動運転車、さらにはアバターをシミュレーションするためにどう利用されるかというのは、絶えず目にするテーマだろう」と述べ、同社のOmniverseに対する取り組みのスケールを強調しながら、同社は今後、気候変動のシミュレーションと予測を行うためのデジタルツイン「E-2」(Earth Two)を構築すると発表した。
またNVIDIAは、Omniverseの拡大とともに、エンタープライズの人工知能(AI)、サイバーセキュリティ、量子コンピューティングのほか、自動車やヘルスケアなど、同社のさまざまな新しい製品や取り組みについて発表した。
Omniverse関連
Omniverse関連では、合成データ生成エンジンである「Omniverse Replicator」が発表された。Omniverse Replicatorは、優れたデジタルツインを構築し、ひいては現実世界で役に立つより優れたAIを搭載したツールを構築するためのツールだ。NVIDIAは、Replicatorによる合成データ生成のための2つのアプリケーションを披露した。自律走行車のデジタルツインをホストする仮想世界となる「NVIDIA DRIVE Sim」、そしてマニピュレーターロボットのデジタルツインのための仮想世界となる「NVIDIA Isaac Sim」だ。AIモデルの構築にはデータが必須となるが、AIプロジェクトは質の高いデータの不足に悩まされているとNVIDIAは指摘する。
また同社は、新たにインタラクティブなAIアバターを作成するためのプラットフォームである「NVIDIA Omniverse Avatar」を発表した。このプラットフォームでは、レイトレーシングで表示される3Dグラフィックスを持つ、インタラクティブなキャラクターを作成できる。このアバターは、多様な話題について会話することができ、人間の発言の意図を理解することができる。
NVIDIAは、ReplicatorとAvatar以外にも、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、マルチGPUレンダリングに関する新機能など、Omniverseのさまざまな最新情報を発表した。さらに、Bentley SystemsやEsriのソフトウェアと産業界向けのデジタルツインアプリケーションの連携が可能になっているという。