設立から5年を迎えた新興の人工知能(AI)チップ企業Cerebras Systemsは米国時間11月10日、ベンチャーキャピタル企業Falcon Edge Capital(傘下のAlpha Wave Venturesを通じて)とAbu Dhabi Growth Fundが主導するシリーズFの資金調達ラウンドで、2億5000万ドル(約285億円)を獲得したと発表した。既存の出資者には、Altimeter Capital、Benchmark Capital、Coatue Management、Eclipse Ventures、Moore Strategic Ventures、VY Capitalが含まれる。
今回の資金調達で、調達総額は7億2000万ドル(約821億円)となり、資金調達後の企業価値は40億ドル(約4560億円)を超えたという。
AIチップの巨人であるNVIDIAだけでなく、GraphcoreやSambaNova Systemsといった新興企業とも競合するCerebrasは、同社が「Wafer Scale Engine」(WSE:ウエハ規模のエンジン)と呼ぶ世界最大のチップをベースにしたコンポーネント群を中核に据え、コンピューターシステムとサービス一式を実現しようとしている。

「WSE-2」を手にするCerebrasのAI製品マネージャー、Natalia Vassilieva氏
提供:Cerebras Systems
同社は4月に第2世代となる「WSE-2」を発表している。この製品は、12インチ(約30.5cm)の半導体ウエハのほぼすべてを使い、2兆6000億個のトランジスターを集積している。
WSE-2は同社の専用ラックマウント型サーバーコンピューター「Cerebras CS-2」に搭載される。Cerebrasは8月、専用メモリーユニットである「Cerebras MemoryX」と、複数のCS-2ユニットをMemoryXに接続する通信ファブリック技術「Cerebras SwarmX」をラインアップに加えている。

提供:Cerebras Systems
また9月には、CS-2を購入に先立ってレンタルしたいという顧客を念頭に置き、クラウドベースの深層学習ソリューションを手掛けるCirrascale Cloud Servicesとの提携を発表している。
Cerebrasは、同社のインフラポートフォリオによって、数兆単位のパラメーターを有する大規模ニューラルネットワークの処理が、(従来の)コンピューティング製品を使用するよりも少ない馬力、かつはるかに優れたかたちで実現できると述べている。また、物理学やその他の基礎科学研究分野における複雑な組み合わせ問題といった、AIに関係しない問題でも比類ない結果が得られると主張している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。