セキュリティ企業のF-Secureは11月15日、日本のメディア向けに法人事業戦略を説明し、2022年1月に新ブランドを導入する方針を明らかにした。
F-Secure 社長兼CEOのJuhani Hintikka氏
説明会にオンラインで登壇した社長兼最高経営責任者(CEO)のJuhani Hintikka氏は、まず2021年第3四半期までの業績を紹介。全社収益は前年同期比8%増の1億17460万ユーロで、法人事業が9%増、コンシューマー事業が7%増、コンサルティング事業が7%増だった。通期の見通しは、法人事業が10%弱の成長、コンシューマー事業とコンサルティング事業は横ばいとしている。
Hintikka氏は、法人セキュリティ市場において、データ活用やリモートワーク、クラウドの利用拡大を背景とするセキュリティサービス需要が高まっているとし、これに対応することが同社の成長につながるとした。
中堅・中小企業の顧客には、7000社以上のパートナーを経由したマネージドセキュリティサービスなどの提供が中心になり、パートナー固有のソリューションと組み合わせたメニューや、利用形態に応じた柔軟な課金モデルなどを特徴付ける。従業員1000人以上の大企業顧客向けには、業界別アプローチによる製品やサービスの展開を挙げ、現在注力する金融に加えIT、通信、製造分野への訴求を強化する。また、パトーナーエコシステムを拡充し、Salesforce.comやMicrosoftのクラウドと連携したセキュリティサービスの提供を強化していく。
大企業顧客向けの戦略骨子
新ブランドの導入は、市場における同社法人向け事業の認知度向上などが狙いになる。同社は1988年の創業で、市場ではウイルス対策ソフトの老舗といったイメージが根強いとし、サイバーセキュリティ市場の中身が多様化している昨今、新ブランドで同社の新たなイメージを打ち出す。2022年1月に新ブランドの名称を公表する予定で、2月に開催されるRSAカンファレンスから正式導入し、日本と欧州でプロモーション展開を開始することにしている。
なおHintikka氏は、新ブランドの導入は法人向け事業だけであり、社名やコンシューマー事業の名称を変更したり、法人事業を分社化したりするなどものでないと説明する。新ブランド導入後は、法人向けに提供される製品やサービスあるいはパートナー経由のサービス名称が新しくなるという。
予定される新ブランドの展開イメージ