セールスフォース・ドットコム(Salesforce)は11月16日、LGBTQ+の従業員を対象とした福利厚生制度として、「パートナーシップ制度」と、ジェンダーアファメーション(性自認の確認と肯定)の道のりを支援する「ジェンダーインクルーシブベネフィット」を導入したと発表した。
LGBTQ+は性的マイノリティーの総称で、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、クィア/クエスチョニング(Q)、それ以外の性的指向と性自認(+)を意味している。
「パートナーシップ制度」は日本独自、「ジェンダーインクルーシブベネフィット」はグローバル共通の制度で、それぞれ11月1日から利用可能。同社は性的マイノリティーの人々に対する取り組みの評価指標「PRIDE指標」において、最高賞の「ゴールド」を4年連続で受賞している。
Salesforceでは「平等(イクオリティー)」をコアバリューの一つとして掲げ、LGBTQ+を含むさまざまなバックグラウンドを持つ従業員やステークホルダーが尊重し合える環境づくりを行ってきたという。その一環として今回、LGBTQ+の人々がより平等かつ自分らしくいられる就労環境を整備すべく、2つの福利厚生制度を導入した。
「パートナーシップ制度」では、同性婚に関する法整備がされていない日本で婚姻に準ずるパートナーシップ合意契約と任意後見契約を締結する際に、従業員は公正証書の作成において金銭的サポートを受けることができる。両契約により、パートナーと共同で住宅ローンを組んだり、生命保険の受取人をパートナーに指定したりすることが可能となる。同制度では、「パートナーシップ合意契約公正証書」と「任意後見契約公正証書」の作成費用を5万円まで補助する。
「ジェンダーインクルーシブベネフィット」では、性別適合手術を含むジェンダーアファメーションのための医療処置・治療への経済支援やその後の職場復帰までをサポートする。同制度には術後の通院やケアに関する支援も含まれ、トランスジェンダーの従業員がありのままの自分でいることを経済的・精神的にサポートする。
具体的には、性別適合手術、処方薬、ホルモン療法などの費用を400万円まで補助するとともに、性別適合手術後の回復期間として4週間の有給休暇を付与する。弁護士費用など、性別記載変更や身分証明書の更新といった法的手続きに関する費用も10万円まで補助する。職場復帰時の支援では、従業員が自分らしい服装で過ごせるよう、衣料品購入費として5万円を支給する「ニューワードローブ補助」や、メンタルヘルスを支援するカウンセリングサービスを用意している。