SAPは年次イベント「SAP TechEd in 2021」で、開発者や業務ユーザー向けのローコード/ノーコード開発ツールのほか、新たなデザインシステムなどの複数の新機能やサービスを発表した。
今回発表された内容は、開発者向けのより幅広いロールアウトの一環だ。
主な内容は以下の通りだ。
- 「SAP Business Technology Platform」(SAP BTP)で統合されたローコード/ノーコード開発ツールを提供する。プロフェッショナルの開発者と市民開発者(シチズンデベロッパー)の両方が簡単にBTPでアプリケーションを構築したり、SAPアプリケーションを拡張したりすることができるようになるという。「SAP AppGyver」で、市民開発者はコードを書くことなく高度なスタンドアロンのアプリケーションなどを開発できるようになる。また、「SAP Business Application Studio」では、プロフェッショナルの開発者にシンプル化されたアプリケーション開発ジャーニーをローコードの視点で実現する。また、SAPはプロセス自動化に関して、「SAP Workflow Management」「SAP Intelligent RPA」を提供し、市民開発者がワークフローの構築やタスクの自動化を容易に行えるようにしている。さらに「SAP Process Automation」で、ノーコードのプロセス自動化を次のレベルへと押し上げている。SAP Process Automationは現在、共同イノベーションパートナーに提供されており、2022年第1四半期に一般提供が予定されている。
- デザインシステム「SAP Fiori」の新しい「Horizon」ビジュアルテーマのプレビュー版:SAPは開発者や顧客に向け、次世代ユーザーエクスペリエンス(UX)を搭載したFioriを実現している。今回のアップデートには、新たなデザインとカラーパレット、改善された情報階層、明確なコントラストなどが含まれている。このプレビュー版は、「SAPUI5 1.93.3」を搭載したSAP BTPを使用する開発者に向けて提供されている。「SAP S/4HANA Cloud 2111」のユーザーは、「SAP Early Adopter Care」から登録し、プレビューを利用できる。
- 「SAP Integration Suite」の最新のアップデートで、SAPと非SAPのアプリケーションを統合するさらなる手段を提供している。統合パックやアダプターは「SAP API Business Hub」で「コミュニティーコンテンツ」として利用可能になる。このパッケージには「SAP Ariba」と非SAPシステム間の接続のほか、ドキュメント準拠シナリオの充実や、「SAP Marketing Cloud」とQualtrics製品との統合が含まれている。SAP Integration Suiteは2021年中に「Google Cloud Platform」でも利用可能になる。現在は「Amazon Web Services」(AWS)と「Microsoft Azure」「Alibaba Cloud」で利用可能になっている。
- SAPは個人開発者向けにSAP BTPの無料ティアーモデルへのアクセスを提供している。このモデルに、「SAP HANA Cloud」と「SAP Integration Suite」も追加された。
- 「SAP Conversational AI」関連の新機能には、テナント間でのボットの転送機能、メモリーや言語によるスキルの初期化機能、ウェブクライアント向けの設定ツールが含まれている。
- ユーザーの過去の行動やメタデータを活用する、ニューラルネットワークベースのレコメンデーションエンジン「Personalized Recommendation」をリリースしている。提供されるツールには、新たなアイテムやユーザーに向けたコールドスタートオプションや、レコメンデーションの説明機能、プロモーションの促進機能が含まれている。
- 「SAP AI Core」と「SAP AI Launchpad」の一般提供をパートナー企業向けに開始した。
- 「SAP Learning」サイトを刷新している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。