富士フイルムBI、HOYA子会社買収でDXを加速

藤本京子

2021-11-19 10:30

 富士フイルムビジネスイノベーション(旧・富士ゼロックス)は11月18日、HOYAの子会社であるHOYAデジタルソリューションズを買収すると発表した。買収金額は非公開で、富士フイルムビジネスイノベーションがHOYAデジタルソリューションズの全株式を取得する。これに伴い、HOYAデジタルソリューションズの社名は2022年1月1日より新たに「富士フイルムデジタルソリューションズ」へと変更になる。

 富士フイルムデジタルソリューションズは、Microsoftの提供する業務アプリケーション「Microsoft Dynamics 365」の販売および導入支援サービスを担うことになる。富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長・CEO(最高経営責任者)の真茅久則氏は、「HOYAデジタルソリューションズは、Dynamics 365のゴールドパートナーとして国内外で実績を積み重ねてきた高い技術力を持つトッププレーヤー。当社が顧客の業務プロセスを変革し効率化してきた経験やノウハウと、HOYAデジタルソリューションズのシステム構築のシナジーにより、より付加価値の高いサービスが提供できる」としている。

富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長・CEOの真茅久則氏(写真提供:富士フイルムビジネスイノベーション)
富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長・CEOの真茅久則氏(写真提供:富士フイルムビジネスイノベーション)

 この買収により、富士フイルムビジネスイノベーションはまず社内でのデジタル変革(DX)を推進し、同社および同社の生産・調達や販売を担う国内外の基幹システムをDynamics 365に刷新する。この導入は、「これまでに類を見ない極めて大きな規模になる」と真茅氏は述べている。

 Dynamics 365を採用することになった背景について真茅氏は、「Dynamics 365で基幹システムを構築し、営業支援、販売、物流、会計などの業務を一気通貫で管理することで、情報の一元化と業務効率が可能になる」と話す。また、同社 執行役員 アドバンスドインダストリアルサービス事業本部長の井上あまね氏は、「Microsoftのプラットフォームは、必要な全ての要素を備えるトータルプラットフォームで、DXの推薦に最適だ。また、Dynamics 365を採用することで、Microsoftのさまざまな製品やサービスとの連携が可能になる」としている。

 具体的な導入時期について、富士フイルムビジネスイノベーション 取締役 常務執行役員 DX推進・基幹システム刷新プロジェクト 管掌の稲永滋信氏は、「まずシステムエンジニアの業務管理分野を対象に2022年から導入を開始する。その後、2023年以降にERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客関係管理)を手掛ける。国内に引き続き海外販売会社にも展開するほか、保守サービス業務、コールセンター、生産分野も順次手掛ける予定だ」と説明する。

 富士フイルムビジネスイノベーションでは、このDynamics 365導入による社内でのDXのノウハウを活用し、顧客のDXも支援する。真茅氏は「自社でのDynamics 365導入を一つの先進事例として活用し、顧客先での導入をより効果的かつ効率的に実現する」としている。これにより、同社では基幹システム導入ビジネスを複合機に次ぐ中核事業へと育てていく考えだ。

 この領域での売上目標について井上氏は、「2023年までこのビジネスを年率4%で成長させる」としている。

 会見には、日本マイクロソフト 代表取締役社長の吉田仁志氏も登場し、「富士フィルムビジネスイノベーションのDynamicsの導入は、約3万7000人の社員を抱える大規模なプロジェクトだ。Microsoftしてもワールドワイドでサポートしていきたい」と述べた。

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