米国の大手通信事業者は依然として5Gネットワークの展開を進めている。今のところ5Gエコシステムは揺籃期にあるとはいえ、通信機器メーカーEricssonによると、それを活用していきたいと考えている企業にとっては今が行動し始めるべき時だという。
同社によると、米国の通信事業者は既に3億人以上にローバンド5Gを提供しているという。そして2021年末までに2億人がミッドバンド5Gを利用できるようになるとともに、100を超える都市/事業者の一部でミリ波(mmWave)ベースのハイバンド5Gが展開されるという。また、2021年第3四半期時点で発表されている5G対応スマートフォンは523機種に上っており、2022年までには北米地域の5G契約数が1億2200万に達する見通しだ。
Ericssonは同社の「5G Things Summit」に先立って公開した新たなレポート「Connecting American enterprises to the 5G innovation platform」(米国企業における5Gイノベーションプラットフォームへの接続)に、「米国企業にとって2022年は、5Gがもたらす機会を水平型ビジネス基盤の一部として活用するための重要な時期になる。そう考えるに足る確固たる理由がある」と記している。
このレポートでは、5Gネットワークの速やかな活用に向けて米国企業が取り得る6つの行動が挙げられている。Ericssonによると、これらはさまざまな業界での大規模展開に向けた機会になっているという。
誰もが利用できる5Gベースのパーソナルコミュニケーションの実現
まずは分かりやすいところからだ。企業はワークフォース全体に5G対応スマートフォンを支給し、従業員がモダンなコミュニケーション環境や新たな生産性アプリケーションを大いに活用できるようにするべきだ。
同レポートには「法人におけるスマートフォンの平均使用年数が2.52年であることを考えると、2022年に5G対応スマートフォンに切り替えなければ、2025年まで旧来のテクノロジーによる制約を強いられる可能性がある」と記されている。
5Gのホットスポットと固定無線アクセスによるリモートワーク接続の保証
5Gのホットスポットと固定無線アクセスの活用により、光ファイバーが敷設されていない場所で働く従業員を含む、各地で働くワークフォースをサポートできるようになる。
Ericssonによると、2020年時点で光ファイバーによるブロードバンド接続を利用できる米国人の割合は16.4%にすぎないという。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック発生から9カ月が経過した時点で、米国のワークフォースの42%近くはリモートで作業していた。これら従業員のうち、3600万人以上は2025年になっても完全なリモート勤務を続けているだろう。