Datadog、APMでDB監視--ホストやDBクラスターなどを分離、ボトルネックを特定

阿久津良和

2021-11-25 08:00

 Datadog Japanは11月19日、米本社の年次イベント「Dash」で発表した新機能や国内法人の事業戦略を披露する記者説明会を開催した。サーバーやサービスなどの状態を監視、分析することで、システム運用の負荷を大幅に軽減する自社ソリューションについて米本社Datadog 最高執行責任者(COO) Adam Blitzer氏は「DX(デジタルトランスフォーメーション)とクラウド移行は大きな変化をもたらしたが、IT環境は複雑になってしまった。『Datadog』は運用状態をリアルタイムで可視化し、顧客の問題解決に寄与する。また、連携をうながして必要な情報の取得を支援する」と主張した。

Datadog COO Adam Blitzer氏
Datadog COO Adam Blitzer氏

同一視点でサイロ化を回避

 米本社は「ランド&エクスパンド(初期の土地と膨張)」戦略を掲げている。初期状態は無償もしくは安価な利用状況を提供し、可用性を認識した顧客が利用範囲を拡大しながら、Datadogの機能(製品)を導入することで成長を続けてきたと説明する。

 とある多国籍金融情報サービス企業は2018年第3四半期にDatadogを導入しているが、クラウド利用の増加に伴い、2021年第2四半期には利用機能数が7倍に増加。Datadogは同戦略で過去16四半期、すべての売り上げ継続率130%超を維持しているという。

 現地時間10月26日から開催したDashでは、列挙しきれないほどの新機能を発表した米本社だが、Datadog Japanは「RUM(リアルユーザーモニタリング)の拡張」「APM(ウェブアプリケーションパフォーマンスモニタリング)の拡張」「オンラインアーカイブ」「CI Visibility」に絞って解説した。

Datadog Japan カントリーマネージャー 国本明善氏
Datadog Japan カントリーマネージャー 国本明善氏

 RUMには各ユーザーセッションを動画として記録し、ユーザー行動を性格に把握することで問題解決や洞察を得る「セッションリプレイ」のほかに、RUMデータを用いてユーザーがページ移動した割合などをグラフ化し、コンバージョン率やUI操作状況を可視化する「ファネル分析」を追加している。日本法人Datadog Japanカントリーマネージャー 国本明善氏は「各部門が同一の視点を持つことでサイロ化を回避できる」と機能を解説した。

 以前からDatadogはデータベース(DB)の監視機能を備えているが、健全性と性能を可視化する「データベースモニタリング」をAPMに追加した。DBから直接クエリー性能情報を収集することで、ボトルネックを特定する機能だが、タグを付与することで特定のホストやDBクラスターなど分析領域を分離できる。

 国本氏は「従来はDB管理者による操作が必要だったが、(新機能により)DB管理者の負担を低減」可能だと主張した。対応するDBは「PostgreSQL」と「MySQL」。ベータ版だが「SQL Server」もサポートしている。

 他方で肥大しがちなログデータはクラウドストレージ容量を消費し、費用的な課題が発生してしまう。すべてのログを15カ月以上保持できる「オンラインアーカイブ」はログのインデックス作成コストの軽減に寄与できそうだ。

 最後の「CI Visibility」は継続的統合/継続的展開(CI/CD)のパイプラインやビルドなどを包括的に可視化する機能。ソフトウェア開発に欠かせないCI/CDによる自動化だが、ボトルネックやビルドエラーを可視化することで、開発環境の健全性や洞察を提供する。GitHubやGitLab、Jenkinsなどの主要なソフトウェア開発基盤に対応し、「信頼性の向上につなげる」(国本氏)

 2020年1月に設立したDatadog Japanは順調に業務を拡大し、「現在の従業員数は(当初の)4倍以上。ビジネスもグローバル以上に堅調」(国本氏)で、いくつかの事例が披露された。

 柔軟性の向上を目的としてECサイト基盤の統一を課題としていた某ファッションブランド企業や国内で100%クラウド化を実現した某銀行の事例を引用し、「(前者は)ECサイトの展開基盤、(後者は)堅牢性と高いセキュリティを担保するため、Datadogを採用している」(国本氏)

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