ローコードアプリケーション開発はどの程度まで高度化するだろうか。その答えはまだ出ていない。しかし一部の関係者らは、ローコード/ノーコード開発が業務ユーザーによる人工知能(AI)アプリケーションの開発に向けて重要な役割を果たすかもしれないとすら予想している。
提供:Joe McKendrick
AIを活用したノーコードプラットフォームを手がけるAkkioの共同創業者であるJonathon Reilly氏は、Harvard Business Reviewの記事で、ローコード/ノーコード開発プラットフォームによって「開発者やデータサイエンティストといった、給与の高い人々を雇用せずにAIを配備できるようになる」と記した上で、「採用に伴う摩擦を除去することで、AIの持つ力をすべての業界で発揮する上での支援がもたらされるとともに、スペシャリストでなくとも未来を文字通り予測できるようになる。そしていつの日にかノーコードAIプラットフォームが、今日のワープロソフトや表計算ソフトのようにユビキタスなものになるだろう」と結論付けている。
Reilly氏はこういった開発を可能な限り容易にする、つまり一般的なエンタープライズアプリケーションとの統合や、データの自動分類、モデルの自動的な選択と訓練、モデル性能の監視が可能なシンプルなインターフェースを備えたプラットフォームを探すようアドバイスし、「ユーザーは回帰分析やk近傍法(k-NN)のアルゴリズムについて知っておかなくても済むようになっているべきだ」と主張している。
ただ、ローコード/ノーコード開発プラットフォームによってハイエンドなアプリケーション開発への道が開かれるという主張について、あらゆる人々が合意しているわけではない。少なくとも現時点でそういった道は開かれていない。Ephesoftの最高技術責任者(CTO)Kevin Harbauer氏は「平均的な業務ユーザーが洗練されたアプリケーションを開発/配備できるようになっているとは考えていない」と述べ、「ほとんどのローコード/ノーコードソリューションは、成功をもたらす上で、高い技術力を有したパワーユーザーを必要としている」と続けている。
また、Transpositの運用およびマーケティング担当バイスプレジデントであるEd Sawma氏は、素晴らしいアプリケーションをその複雑さの程度にかかわらず構築する能力として、「依然としてユーザーエクスペリエンスの設計や、実装する機能の優先順位付け、ワークフローとアルゴリズムの理解といったものが要求されている」と述べ、「コードの記述が不要なものをドラッグ&ドロップインターフェースのかたちで実装しただけだ」と続けている。
Harbauer氏によると低水準な自動化は一般的なユースケースであり、「IT部門以外のさまざまな部署で用いられるアプリケーションに見られる」という。同氏は「これらのソリューションによってパワーユーザーは、シンプルな作業を自動化し、システム間のデータを統合し、今までIT部門に依頼していたようなシンプルなアプリケーションを開発できるようになる」と述べている。