大日本印刷(DNP)は、人工知能を活用した感情解析システムを開発した。このシステムは、リモートで接客中の顧客の声からAIが感情を解析するもので、接客中のオペレーターなどに解析結果の感情を伝え、より効果的な接客や商談を支援する。同社が2019年から提供している「DNP遠隔接客支援サービス」などにも今回開発したAIによる感情解析システムを組み込む。
DNPでは同システムを家電量販店や旅行代理店、保険の窓口などの小売・流通企業、メーカーなどに対して関連サービスも含めて販売し、2025年度までに20億円の売り上げを目指す。

利用イメージ
AIによる感情解析システムの音声感情解析は、接客や商談の際に顧客が発した「声の波形の振幅や間隔」と「周波数」について、AIが独自の計算方式と測定によって解析し、話し手の感情の状態を可視化する。

AIによる感情解析システムを活用したリモート接客支援の概要
解析した感情は、正直・本心、高い期待、興奮、恥じらい、確信が持てない・自信がない、ストレス、緊張、強い興奮、より高いストレスの9つに分類される。これによって得られた「顧客の発言の信憑性」や「現状の心境」などの情報を、リモートで接客中のオペレーターなどが扱う情報端末に表示し、接客しながらより効果的な商談の進め方や情報提供の仕方を検討していくことを支援する。
また同システムは、顧客との会話を録音・録画することなく、リアルタイムで感情を解析し、オペレーターなどに通知するため、個人情報の管理に配慮した運用が可能となる。なお、これらの機能はDNP遠隔接客支援サービスだけでなく、他社のリモート接客システムや機器に対しても、特別な仕様に変更することなく導入できる。
DNPは、今回開発したシステムの提供だけでなく、同システムを使ったリモート接客の代行支援などの業務にも対応する。また、リモート接客を行う専門スタッフの派遣や育成、接客に必要なコンテンツの作成や実店舗の効果的な陳列棚作り、接客の効果分析などもトータルで提供していく。
利用価格は、システムのみを提供する場合は初期費が税込30万円から、運用費が月額5万円から。DNPの代行支援と組み合わせた場合は初期費が50万円から、運用費が月額20万円から。