米Deelは12月1日、グローバル人材のリモート活用を支援するSoftware as a Service(SaaS)の日本での提供を開始すると発表した。同社は、海外の人材を代替雇用して顧客に派遣したり、顧客が海外人材の契約から給与支払いまでをスムーズに行ったりできるサービスを展開している。
米国に本社を置くDeelは2019年に設立され、従業員数は450人に上る。顧客企業は約6000社で、毎月600社ほど顧客数が増加しているという。同社の顧客には、クラウドストレージを展開するDropboxや電子商取引(EC)企業のShopifyなどがある。
Deel カントリーマネージャーの中島隆行氏
カントリーマネージャーの中島隆行氏は発表会で、Deelの強みとして「世界で250社以上の法律/会計専門家とのパートナーシップ」を挙げた。日本チームは現在、6人で稼働しており、日本企業の海外人材雇用/海外進出、従業員の海外移住に関する労務支援、地方自治体や地元企業の海外人材の活用支援を行う。
中島氏は「われわれが提供するのは、リモートワークの未来を支えるプラットフォーム。リモートワークの未来とは、『Work from Home』ではなく『Work from Anywhere』。働く人はネットがあれば国境を越えて働くことができる、企業はその仕事に適した人材を世界のタレントプールから雇用できるというメリットがある。一方リモート人材をクロスボーダー(国境を越えて)で雇用する場合、現地の法律、税制、通貨への対応が必要となる。当社はこうした問題を解決するプラットフォームを提供する」と語った。
Deelの主なサービスには、従業員の派遣サービス「Employer of Record」(EOR)と業務委託の労務管理サービス「コントラクター」がある。EORでは、顧客が現地法人を設立することなくDeelが保有している法人を活用して現地の人々をリモートで雇用できる。同社は世界150カ国に法人を持っている。
通常、企業が他国の人材を従業員として雇用したい場合、その国に法人を持っていなければならないという。EORでは、他国の従業員とDeelの現地法人が雇用関係を結び、日本企業とDeelが別途契約を結んでDeelの従業員を日本企業に派遣するという形を取る。従業員一人当たりの料金は国によって異なるが、月額500ドルから。
コントラクターでは、現地の法律に準拠した請負契約書を作成・締結したり、給与計算、経費精算、現地/仮想通貨での支払いをしたりできる。対応している通貨は、120種以上に及ぶ。従業員一人当たりの料金は月額49ドル。EORではDeelが顧客と従業員の間に入るのに対し、コントラクターでは顧客と相手の企業・個人事業主が直接契約する形を取る。