ロボットは過去5年間で、複数の分野における発展途上の技術という位置づけから、さまざまな業界の企業の運用を支えるなくてはならないツールへと変貌を遂げてきた。物流や製造、マテリアルハンドリング(マテハン)、検査、ヘルスケアなど、「ロボット化」の道に進んだ分野を挙げると限りがないほどだ。また、建設や配送といった業界では転換期を迎えるほどになっており、ロボット革命の真っただ中と言っても過言ではない。
また、われわれは新たなジャンプ台を目前にしている。自動化テクノロジーは成熟しつつあり、開発者らはエンジニアリングアプローチの統合と標準化を進めており、人工知能(AI)やコンピュータービジョンといったテクノロジーが組み合わさることで、能力と効率に関する新たな波が生み出されようとしている。
つまり、今はロボティクス分野における躍動の時代なのだ。われわれは、自動化の分野をけん引する、革新的な考え方を持った名高い企業幹部6人に依頼し、2022年以降に起こり得ることについて語ってもらった。以下はロボティクス分野における最前線からの予想だ。それによると課題が存在するのは明らかだが、未来は明るいといえそうだ。
#1:相互運用性が次の大きなハードルとなる
Brian Gerkey氏:Open Roboticsの共同創業者/最高経営責任者(CEO)
「協働ロボティクス分野が成熟するとともに、エンドユーザーとのやり取りがさま変わりするケースを次第に見かけるようになってきている。ヘルスケアやEコマース、物流、製造といった業界すべてには、ロボット導入の第2波や第3波が押し寄せている。そしてほとんどのケースにおいて、既に配備されているロボットとは異なったものが購入されている。このためロボティクスにおける次なる大きな課題は相互運用性になる。A社製のロボットがB社製のロボットと通信できない場合、エンドユーザーは問題を抱えるはずだ。これはわれわれがシンガポールのヘルスケア施設で2018年以来取り組んできた、そして現在もOpen-RMFイニシアチブを通じて取り組んでいる課題だ。また、異なったメーカーのロボットが互いに通信できるというだけでなく、そのロボット言語が火災報知器やエレベーターなどの他の機器とやり取りできるようになっている必要もある」(Gerkey氏)
#2:ロボティクスの創造性が花開く
Wendy Tan White氏:IntrinsicのCEO
「私は、今後数年以内に産業用ロボット分野からより創造的かつ革新的なものが登場すると期待している。ソフトウェアファーストのソリューションと、より安価なセンサー機器、より豊富なデータによって、われわれは間もなくロボティクスのルネッサンス時代を迎えるだろう。より多くの開発者と起業家が高度なAI/認知/シミュレーションツールを活用していくようにもなることで、以前には実現できなかったものごとが十分実用的なレベルで実行できるようになり、想像もしなかったことが可能になる。産業用ロボットがわれわれの仕事と生活というコンテキストの中で再解釈されていく中、今後の10年はエキサイティングなものになるだろう」(White氏)